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概要

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 近畿日本ツーリスト(KNT)は2割程度のKNTツーリスト店舗を閉鎖。JTB は店舗の統廃合や事業の見直し、ルックJTBの抜本的改革を断行。エイチ・アイ・エス(HIS)はハウステンボスの再建に参入、店舗やブランドの拡充も図った。日本旅行・トップツアー・KNTが共同の国際線航空券仕入れ会社を設立したことも注目を集めた。 この年は、円高や羽田景気、上海万博などの後押しで前年より海外渡航者数は上向いた。 11年3月11日に発生した東日本大震災は、旅行業界にも大きな影響を及ぼした。11年はエジプトの騒乱、ニュージーランド地震と大きな事件が続いたが、震災は東日本のイン・アウト旅行需要を一気にゼロに近いところまで冷え込ませた。 震災後しばらくは、各社とも在東北の関連会社へのケア、催行できなくなった関連ツアーの後処理や顧客への対応に追われた。混乱のなか、海外ボランティアツアーで経験を積んでいた「地球の歩き方」がボランティアバスを企画し他社も続く。「旅で被災地支援」というキーワードで、旅と被災地を結びつける動きも生まれた。政府も観光を震災・復興に貢献する基幹産業と位置づけた。 大幅に減少した春のシーズンを補って余りあったのが、夏以降の需要回復だ。急激な円高は高騰していた燃油サーチャージを十分カバーし、エアアジアX などのLCC も人気を集めた。何より春の旅を取りやめた反動や「原発避難」とも言われた一時的な国外脱出組など、震災後、人々はさまざまなことを旅に求め、業界にとっても「旅の力」を実感させた。最終的に11年の渡航者数は前年比プラスとなったが、半面インバウンドは円高や震災がそのまま集客減につながり、この年の4 ~ 9月、倒産に追い込まれたホテルや旅館は過去10年で最多だった。 市場の勢いは12年に入っても止まらず、この年、渡航者数は一気に1800万人を突破する。高まる需要に、航空座席数増加がそのまま対応した。また宿泊ニーズをCtoC でマッチングするAirbnb や、旅のニーズを旅行会社とマッチングさせるトリッピースなど、SNS を活用したビジネスモデルも業界に新風を吹き込む。そのなかでほぼ唯一ブレーキになったのが、尖閣問題・竹島問題で日本との関係が悪化した中国と韓国である。 観光立国推進基本計画が固まるにつれ、インバウンドへの取り組みも進んだ。最大級の市場だった中国は韓国より需要回復が鈍く、相次ぐ就航や個イノベーションの着想松濤徹(グーグル第一広告営業本部旅行業界担当統括部長)●トラベルジャーナルの誌面からっと伸びる。海外旅行需要が縮小しているから2000万人には届かない、などというそんな甘い話じゃない。良さを伝えることを義務だと認識して、取り組むべきではないでしょうか」 「(14年のキーワードは)ビッグデータを使ったレコメンド、つまり『お勧め』ではないでしょうか。これにソーシャルサービスを組み合わせる。(中略)『お勧め』は実は深い言葉だと思っています。安心や安全、お得なものを勧めることは、プロにしかできません。プロが介在しなくてもお勧めできるものはありますが、それはデータがあるものに限られます。プ 「旅行の検索は、顕在化しているニーズだけで伸びているというのが事実です。需要を顕在化させるためには、対象となるものを知っている旅行会社やツーリズム産業がきちんとそれらを知らしめていく必要があります。潜在需要を創り出すという行為は、知っている人にしかできません」 「インターネット上での旅行関連のキーワード検索は、右肩上がりで伸びています。伸びていないとか、旅行ビジネスが苦しいという声もありますが、旅行に対する欲求は持続的に成長しています。(中略)ですから、もっと真剣に取り組めば、もロとデータの2つのバリューがあってこそ、顧客にお勧めすることが実現する。これにさらに新鮮味や驚きなどを加えていくのがプロの仕事です」 「昨年は20年五輪の東京開催が決定した年です。国の成長戦略のひとつにインバウンド政策も掲げられました。ツーリズム産業は外客誘致に従来以上に取り組んでいかなければなりませんが、ユーザーが検索して興味のある場所の訴求やプロモーションなど、グーグルの資産を活かし、外客誘致に貢献していきたいと考えています」(2014年1月6・13日号)震災が再認識させた「旅の力」TRAVEL JOURNAL 2014.6.16 40