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概要

TJ20140616_BN

報の取り扱いに対しての取り組みも進んだ。 そして05年、燃油費の高騰に対応し、航空会社は次々と燃油サーチャージの徴収に踏み切る。消費者への説明、収受の手間は旅行会社の負担となり、わかりにくい価格表示も消費者には不評。何よりこの後何年にもわたって続いたサーチャージの値上がりは旅行意欲の減退につながり、ボディーブローのように業界にダメージを与えた。 さらにビジネス・観光ともに伸びていた中国需要が、05年4月の反日デモ、08年1月の冷凍餃子事件、同5月の四川大地震発生で大きく減少。一時は回復するかと思われた旅行需要だったが、05年からは渡航者数は横ばい、07年からは3年連続マイナス成長という苦しい状況になった。 そんななか、ダイナミックパッケージの導入が05年から各社で始まる。顧客が素材を選ぶ販売方法はオンラインに適しており、注目を集めた。 06年、JTBとエイチ・アイ・エス(HIS)の海外旅行取扱人数でのトップ争いが話題を集めた。進むFIT 化傾向をはっきりさせる話題となった。この年、阪急・阪神が経営統合するなど再編成はさらに続いた。なかでもJTBが分社化(事業持株会社制)に踏み切り、地域や市場に正対する事業体を目指したことは、業界トップの成長戦略として、強烈なメッセージとなった。 航空業界は06年にコミッション5%に踏み切り、08年にはノースウエスト航空とアメリカン航空がコミッション0%を決定したことから日系もこれに続き、ついにゼロコミッション時代が到来する。 政策面では07年、アジア・ゲートウェイ構想が発表されチャーター規制が緩和、LCC参入促進のためペックス運賃の下限も撤廃された。航空自由化へと状況が進む一方、進まない日本航空の再建計画、航空座席供給量の減少は業界の不安をあおった。 08年10月、観光庁が発足する。基本計画に盛り込まれたのは「10年までに訪日旅行者数1000万人、日本人海外旅行者数2000万人」。実現に向けて走り出した09年、新型インフルエンザが発生し、さらに前年のリーマンショックに端を発する世界金融危機の影響で再び業界にダメージを与えた。 グローバル化する世界の状況に翻弄されながら模索を重ねた00年代の旅行業界。危機感は募り、「次の一手」が何か、誰もが真剣に考えるなか、10年代への足音が近づいてくる。JTBが分社化の決断下/ガリバーといわれたJTBが創業以来の大鉈をふるい分社化、市場や地域に対峙する約150の特化型企業グループへ変身(2006年4月)写真提供/ JTB 右/観光産業悲願の観光庁設立で祝賀会は熱気に包まれた。日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)の舩山龍二会長が乾杯の挨拶(2008年10月)TRAVEL JOURNAL 2014.6.16 38