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概要

TJ20140616_BN

にわたり、規模も大きくなる。90年代前半は、東西ドイツ統一・ソ連崩壊・欧州共同体市場統合など世界の目まぐるしい動きを背景に、旅行業者の責任や消費者保護に関連した議論が活発化した。 90年6月、北欧ツアーパンフレットの「白夜」「沈まない太陽」という表現に対して公正取引委員会が大手6社に不当表示があったとして排除命令を出し、いわゆる「白夜論争」が起こる。91年9月、公正取引委員会がJATA関東支部に対し、パスポート取得費用などの取扱料金の割引制限は独占禁止法に違反すると排除勧告を出す。92年8月にはJATA が「主催旅行募集広告・パンフレット類作成ガイドライン」をまとめた。また92年3月、ミヤビワールドツアーズが10数億円の負債を抱えて倒産する。この金額は当時の弁済制度による消費者への補償額を大きく超えており、93年にJATA は主催旅行会社の営業保証金を最低7000万円に引き上げる意向を示した。 旅行会社はどこまで「旅行」を保証すべきなのか。「旅程保証」の規定、主催旅行を扱うかどうかで第1種から第3種まで分ける旅行業者の区分が盛り込まれた新たな旅行業法は、95年4月に公布され、96年4月から施行された。 この動きと並行して、すでに公然の存在になっていた格安航空券も議論の的になった。90年、輸入航空券の利用者を日本航空が搭乗拒否したことへの旅行業者の訴えが東京地裁で棄却された。位置づけがあいまいで無登録の業者も多く「異端児」「モグリ」「必要悪」とまで言われた格安航空券業界だが、不景気やFIT 増から需要は高まる一方で、出張に使うという会社も現れてきていた。無視できなくなっていた市場に進出を考えていた業界各社に、弾みをつけたのがIT 化である。 97年4月、主催旅行商品のコンビニ販売を運輸省が解禁するが、それを待たずして旅行会社とコンビニの提携はスタートしていた。 急増したコンビニと急速に普及した携帯電話・インターネットは、旅行会社にとって魅力的な販売チャネルだった。自社ホームページでの旅行販売は90年代前半から行われていたが、ネットでの取引が本格化するのは90年代後半からだ。 94年、GIT運賃が廃止となりIIT(個人包括旅行)運賃が登場、さらに一定の枠の中で価格が自由設定できるゾーンペックス運賃が認可される。今までは個人向けにはGIT 運賃の航空券をばら売りして業法改正で旅行業新時代を創る小竹直隆(JATA経営特別委員会小委員長/JTB代表取締役専務)●トラベルジャーナルの誌面かられない、と思う。『責任問題』が提起している時代のチャレンジに正面から応えなければ、われわれ旅行業界はいつまでも斡旋業にとどまらざるを得ないだろう。このチャレンジに立ち上がってこそ、低収益構造と低い社会的地位の厚い壁を破ることができるのではないか」 「素案でも、必ずしも主催責任に限定しているわけではなく、たとえば『旅行者と旅行業者との間の取引・契約観念の確立に向けた一種の意識革命を進める必要』を挙げている。これは実は非常に重要なメッセージであり、JATA 理事会でも取り上げられたわけだが、契約の前提 「旅行業界は世間の注目を集め、さまざまな分野から大きな期待が寄せられている。一方、われわれ業界は必ずしもこの世間の期待に応えていない。期待と現実の間に大きなギャップがあることは事実だ。このギャップの大きさが社会的地位の低さにもつながっている、と思う。しかし、このギャップを埋めるためには、われわれ自身のまさに『主体的努力』なしには何事も変わらないだろう。『責任問題』について今までわれわれはどちらかと言えば『代理・媒介・取次』を盾に半身の姿勢で臨んできたが、これからはもう今までのような中途半端な姿勢は許さとなる取引条件の説明が十分にされていないことが、旅行業の地位向上を阻害している要因の1つであることを訴えたい。主催旅行業者の責任だけが強調され、販売側が何もしなくていいというのではなく、むしろ販売側がお客様に対して、旅行業のスタンスを明確に伝えられるかどうかが重要だ。今回の旅行業法改正の一番大きなテーマは主催旅行業者の責任問題であると同時に、旅行業全体の体質にかかわる問題として捉えることが大事で、そのベースにあるものは取引・契約観念の確立だと思う」(1994年9月12日号)“白夜論争”と業法改正TRAVEL JOURNAL 2014.6.16 34