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概要

TJ20140616_BN

 90年11月、海外渡航自由化から四半世紀を経て、出国者数は1000万人を突破。テン・ミリオン計画で掲げた目標より1年早い達成となった。この勢いを支えたのは、バブル経済と旅行ブームに沸いていた若い女性層だ。20代女性の全渡航者数に占める割合は、70年9.1 %、75年11.3 %、80年12.1 %、85年14.9%、89年15.8%とシェアを伸ばし続けた。 順調な流れを止めたのは、91年1月に発生した湾岸戦争である。外務省は「不急不要の海外旅行は自粛」勧告を発出、事態の終息後も初夏までは影響が続き、この年の出国者数は前年比3.3%減で80年以来となるマイナス成長に終わった。だが翌92年以降96年までは、バブル経済が崩壊し景気が冷え込んだものの、大量の激安ツアーや格安航空券の普及なども手伝って渡航者数は順調に伸び続ける。しかし相変わらず収益率は低く、多くの旅行会社の内実は、利益の少なさを取扱数と円高差益でカバーしている、というものだった。 93年にエイチ・アイ・エス(HIS)が新宿に売り場面積日本最大級の旅行店舗をオープン。96年にはJTBが子会社で新宿に格安航空券専門店を開設、新宿格安航空券戦争と騒がれた。高まる格安航空券や個人旅行ニーズを象徴する出来事だった。 ただ渡航者数が増えると、発生する問題は多岐90’ sバブルに乗ったテン・ミリオン達成から一転、90年代後半は旅行業界が渡航自由化以降最大の不況に苦しんだ。そして90年代半ばに起きた航空運賃体系の見直しとインターネットの普及は、業界に大きなイノベーションをもたらした。旅程保証誕生販売規制緩和へ1990年代1990年 6月 公正取引委員会が大手旅行業者の海外主催旅行募集パンフレットなどに不当表示があったとして排除命令7月 JTBが公取委の不当表示排除命令に審判手続き請求(白夜論争)9月 輸入航空券利用者を日本航空が搭乗拒否したことに対する旅行業者の訴えを東京地裁が棄却11月 日本人出国者数が1000万人を突破(テン・ミリオン達成)1991年 9月 公取委がJATA関東支部に取扱料金の割引制限を排除勧告11月 JTBが公取委の募集広告不当表示排除勧告を受け入れ1992年 3月 ミヤビワールドツアーズが10数億円の負債を抱え倒産10月 太平洋線、欧州線、アジア線にゾーン運賃導入1993年 2月 JATA、主催旅行業務の営業保証金を3750万円から7000万円に引き上げ意向表明6月 海外職場旅行、4泊5日まで非課税扱いに6月 HISが新宿に1000㎡の巨大カウンター店舗を開設1994年 4月 国際線新運賃制度実施9月 関西国際空港供用開始1995年 4月「 旅行業法の一部を改正する法律」公布(96年4月1日施行)9月 運輸省が航空会社の自主的な運賃設定を認可10月 運輸省が「新標準旅行業約款」を発表1996年 1月 「ホテルの窓口」サービススタート12月 JTBの子会社エイ・ビー・アイが新宿で格安航空券販売店舗を開設1997年 4月 運輸省が主催旅行商品のコンビニ販売解禁の方針を発表1998年 1月 運輸省が10月から航空会社の旅行会社向け国際航空運賃の下限撤廃の方針固める2月 ジェットツアーが自己破産申請。負債総額266億円6月 サッカーW 杯仏大会のチケットが不足、ツアーの中止相次ぐ10月 四季の旅社が自己破産申請11月 ユナイテッド航空がEチケット導入1999年 3月 旅の専門店連合会「旅専」が設立総会5月 旅行産業経営塾が開講7月 IATA運賃調整会議で、発券手数料規定の撤廃を決定。コミッション自由化へ10月 JATAのボンド保証制度が231社でスタートTRAVEL JOURNAL 2014.6.16 33|特|集|次の半世紀へ