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概要

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のFIT 向けプラン「プッシュ・ボタン」(19日間/62万5500円)で、破格の安さが話題を呼んだ。65年になると団体割引運賃を利用したパッケージツアーが続々登場する。ジャルパック/ジャルキット(日本航空)、パンナム・ホリデー(パンアメリカン航空)、セシボン・ツアー(エールフランス)、オイローパツアー(ルフトハンザ・ドイツ航空)、バカンザツアー(アリタリア航空)……。ツアー運営の現場で活躍したのは旅行会社で、「幹事」と呼ばれる大手・中堅が手配や添乗を担当、全国のIATA代理店が販売した。大卒初任給2万円程度の時代、海外旅行への精神的なハードルはパッケージツアーが下げ、金銭的ハードルはトラベルローンが下げた。 「外国語の不安もチップのわずらわしさも心配ご無用/おひとりでも気軽にご参加いただけ‘旅は道連れ’のおもしろさも/大切な外貨と時間をむだなく生かした余裕のあるコース」(日本交通公社65年2月広告より) 「お支払いはお帰りになってから月賦でどうぞ」(ジャルパック65年1月の広告) 拡大する市場に対応するため日本航空は67年に自社ツアーの販売会社「トラベル・エア」の設立を発表したが、これはすでに自立できる力を蓄えていた旅行業界で議論を呼び、計画は頓挫した。 これが引き金のひとつとなり、68年日本交通公社はホールセール業に踏み切り、1月に自社ブランド「ミニ」「ハニー」を発表。同年11月に日本通運と提携し「ルック」を販売することを決定した。69年4月、ジャルパックのホールセーラー・旅行開発が誕生、続いて7月には中堅6社が「ジェットツアー」を販売する世界旅行を設立するなど、旅行業界はホールセーラーと小売りの分業体制を整えていった。これは70年に控えたジャンボジェット・B747型就航を見据えてのことだ。 ジャンボ就航目前の69年、IATA(国際航空運送協会)は欧州・太平洋地域を対象にバルク(一括契約包括旅行)運賃導入を決定。旅行会社が航空会社から座席(40席が基本)を買い取るシステムである。リスクもあるが、それを上回ったのが価格の魅力だ。バルク運賃を利用することで、ヨーロッパツアーは30万円台、ハワイツアーは15万円程度で実施できることになった。旅行はついに庶民のものになったのだ。 外貨持ち出しなどの規制の緩和の波にも乗り、64年以降20~30%増ペースで増えてきた海外旅行者数は69年に前年比43.5%増の49万2880人となった。視界に入ってきた100万人時代を予感し業界全体が熱を帯びるなか、60年代は幕を閉じた。羽田で記念撮影を行うジャルパック第一陣の参加者たち(1965年4月)写真提供/ジャルパック業界誌の必要性発行人 森谷哲也トラベル・ジャーナルの発刊にあたり 「国際観光事業は国家に富をもたらすものであると同時に、国際間の理解の向上に寄与するものであり、観光事業の経済的な意義からも、雇用の増大、国民所得の増加、外貨事情の好転、税収の増大とあらゆる面においてプラスするところがあります」「業界が今求めているものは正に権威ある、正確で敏速に正しいニュースを報道する業界誌であります。業界相互の理解と親睦を計り、業界のより一層の発展に寄与したくここにトラベル・ジャーナルが誕生致しました」(1964年6月15日号)●トラベルジャーナルの誌面からTRAVEL JOURNAL 2014.6.16 26