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概要

TJ180402

6 TRAVEL JOURNAL 2018.4.2 WEEK'S TOPICS注目のニュース光庁は20年の訪日外国人消費額8兆円の達成に向け、体験型観光に当たる娯楽サービス費を全体の10%の8000億円に引き上げる目標を掲げた。観光ビジョン実現プログラムで掲げる観光資源の開拓に関する有識者検討会の提言に盛り込まれた。育成する観光資源に祭りや温泉を挙げ、夜間や早朝時間帯の有効活用も促進する。観光庁は、体験型観光を充実させることで、伸び悩む消費額の押し上げを図りたい意向だ。 17年の娯楽サービス費は全体の3.3%の1439億円にとどまり、全費目で最も少ない。体験型観光は滞在時間やリピーターの増加、地方誘客を促進できる効果が期待され、観光庁は娯楽サービス費のみならず、宿泊や買い物などの消費額増に貢献するとみている。 提言では、体験型コンテンツは入場料やアクティビティーの単価が低かったり、無料で設定されていると指摘。寺社仏閣、城、庭園などの資源に宿泊や飲食を掛け合わせた体験の提供につなげることが重要としている。並行してチケット購入や決済方法の環境整備も促進する。 祭りを地域の歴史・文化に触れる観光資源と捉え、外国人参加枠の設定や外国人対応ができる人材育成に取り組む。ノウハウ集の作成のほか、問い合わせ・予約窓口の設置や受け入れ整備ができるよう後押しする。温泉を体験素材に位置づけ、飲食店などとの連携や情報発信といった温泉地として満足度を引き上げる体制整備を促進する。 夜間の観光については、2次交通や治安などを議論する官民協議会を新設し、訪日前から情報を得られるようにポータルサイトもつくる。朝の時間帯を活用するため、公的施設の早期開放も後押しする。JATA、訪日旅行の質向上で提言ランオペ区分や認証制度対象の拡大ATA(日本旅行業協会)は3月6日、訪日旅行に関する提言を観光庁に提出し、旅行サービス手配業(ランドオペレーター)の登録区分導入や「ツアーオペレーター品質認証制度」の対象拡大を求めた。訪日3000万人が視野に入り、20年4000万人の目標達成には、「訪日外国人旅行者の地方誘致や訪日旅行の質の向上など取り組みの加速が必要」(丸尾和明訪日旅行推進委員長=日本旅行代表取締役会長)との考え。品質向上、安心安全、地方誘客促進を3本柱に据えた。 品質向上策は再訪を促すために必要不可欠とする。品質の確保に向け、1月にランオペの登録制度が導入されたが、実施後の状況を見守る必要があるとしたうえで、登録区分の必要性を明記した。オーダーメイド旅行を手配し一定の質を担保できる場合と、代理手配のみとの区分を検討するよう求めた。また、JATA が事務局として推進している品質認証制度を宿泊施設やレストラン、土産物店など観光業界に拡大することを提言した。国が統一基準を設け、それを満たした施設にマークを付与し、品質を見える化する。 安心安全では、自然災害など緊急時の多言語情報提供システムの拡充を提案。テロップの多言語表記などを例に挙げた。また、日本版ツーリストポリスの新設を求め、外国人旅行者が道に迷った時など対応ができるよう促す。 このほか、地方誘客では、滞在日数の延長やスポーツなど体験型旅行の促進、教育旅行の拡大を挙げた。同行者や観戦者も楽しめるスポーツイベントの企画は、ファミリー層をはじめとした外国人誘致につながると提言。また、東京五輪を見据え、さまざまな地域がホストタウンとして継続的な国際交流ができるよう支援を求めた。J体験型観光で消費8000億円へ観光庁、祭り・温泉を資源に観(團祥太郎)(藤井真代)●提言の主な内容●?品質向上・旅行サービス手配業の登録区分導入・品質認証制度の観光業界への拡大・リピーターにバッジ進呈、店舗等での優遇策●?安心安全・緊急時の多言語情報提供システムの拡充・FIT旅行者向けのトラブル対応窓口の設置・日本版ツーリストポリスの新設●?地方誘客促進・2次交通対策として周遊パス造成促進・教育旅行の拡大促進・地方部におけるスポーツツーリズムの促進資料: 観光庁・祭りに外国人参加枠を設け、開放を支援・温泉地の連携、情報発信を促進・夜間の観光を検討する官民協議会の設置・朝に公的施設を開放するよう促す・ビーチの通年利用に向けた協議会を設置・チケット購入・決済の環境整備・VR(仮想現実)、AR(拡張現実)を活用した訪日前、旅行中のプロモーションの推進●体験型観光充実に向けた提言