ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

TJ180402

vol.vol.せきねきょうこ 著34 TRAVEL JOURNAL 2018.4.2 メインプールに朝陽がさす様子。9時頃までは何とか凌げるが、その後は急激に暑さが増す。緑や木々の多いこの地域はエコツーリズム・アーバン・エリアとしても指定される好環境 お笑い芸人サンドウィッチマンが人気だという。もともと人気者だったが、近ごろさらに愛されているのは、その芸風が「誰も傷つけない笑い」からだとか。確かに近年のバラエティー番組では、他人のダメさや間抜けさを笑い、いじめて笑いをとるのが当たり前になっている。その中で、彼らのコントやトークはほのぼのと優しい。互いを絶賛しあう芸風のおぎやはぎなんかも、その手の「傷つけなさ」が受けている気がする。みんな疲れてるんだな。 人を傷つけない、攻撃しない、それでいて自虐にも走らない面白さ。意外と難しいそんな世界をふわっと漫画にして20万部という大ヒットを飛ばしたマンを離れて約4年、世界的なホテリエとして知られるエイドリアン・ゼッカが、新たにベトナムにオープンしたのが「アゼライ・カントー」だ。 現在ソフトオープン中だが、飛んで行った。グランドオープンはこの4月28日という。アマン同様、到達するには時間を惜しんではいけないのだろう。ホーチミンからであれば、専用送迎車で3時間半。ハノイからなら国内線に乗り換えて2時間半、カントー空港からは送迎車で15分ほどだ。いずれにしても、日本から行くとなるとチョットばかり時間がかかる。 カントーとはメコンデルタ最大の町である。気候はモンスーン気候でとにかく暑い。おかげで南アジア随一のフルーツ豊富な地域でもあり、アゼライのフルーツジュースはとびきり美味しい。かつてのフランス植民地の影響は残っていないが、パンも美味だ。 そんな環境にあるアゼライは、メコのが今回の作品。作者はお笑い芸人「カラテカ」の矢部太郎だ。ひょろりとした体に気が弱そうな顔つき、押しの強さがものをいうお笑い界では地味な存在の彼だが、私生活も地味な独身ひとり暮らし。そんな彼が引っ越してきたアパートは、木造2階建て一軒家の2階部分。80代の大家さんが1階でひとり暮らしをしている。この2人の交流がストーリーの核だ。 いやはや、なんともほっこり。家賃は手渡し、心配になると互いに電話しあい、お茶や食事、買い物にも一緒に出かける。大家さんは親から駄菓子を許されず、いまも挨拶は「ごきげんよう」という戦前生まれのお嬢様。遺品整理などの終活や戦前の思い出話に作者を付き合わせたりしながら、ゆっくりゆっくり、時間を過ごしていく。それを描く作者の筆致もまた優しくゆっくり。地の文章も全部丁寧語、敬語で描かれているのがいい感じだ。 日本人の暮らしの本来の良さって、こういう細やかな感情のやりとりなんだろうなと思わせるベストセラーコミック。クールジャパン、こういうのが発信されるといいのに。(編集者・ひとり旅活性化委員会主宰)ンの支流であるハウ川の中にあるアウ島に造られた。島というには小さいらしく、中州か小島、英語では「Islet」と言う。しかし1つのリゾートが占有するには十分な広さで、この島全体をアゼライが使っている。アイランドリゾートではあるものの、町の専用ピアからはボートで5分、目と鼻の先だ。 客室は30棟2軒続きのヴィラ造り。全60室がコネクティング可能だ。1泊250ドルから泊まれる客室35 ㎡ のリーズナブルなリゾートだが、アマンの創始者であるゼッカは、ラグジュアリーな雰囲気と快適なサービス、グルメな食事をそろえ、どこにも劣らないリゾートを完成させた。アゼライは、今年中にはベトナムにもう1軒オープンが待たれている。 かつて「私が仕事を辞めるときは死ぬとき」と笑っていたゼッカ。実際に今なお、自分の夢を形にするべく飛び回っている。 (ホテルジャーナリスト)大家さんと僕矢部太郎著/新潮社刊/1000円+税感情のやりとり優しく描く468夢追い人の夢実現とゼッカを追う感嘆169ア