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概要

TJ180402

1 ろうそくに点火できる参加型イベントの雪月火 2 岸辺にも並べられるミニかまくら 3 ペットボトルに設置したろうそく 4 雪月火の会場に出店するトラック屋台 5 猫の駅長で有名になった芦ノ牧温泉 6 定食につく牛乳は持ち帰ることもできる7 スノーラフティングなども楽しめる会津高原 8 雪に覆われた萱葺き屋根が一望できる 9 大内宿のガイド。飛脚姿は台湾、香港などの外国人に人気というす仕組みづくりも重要」と語っている。そのなかで、イベント前日から地域住民と一緒にミニかまくら作りなど会場の設営を行うボランティアツアー参加者の存在は欠かせない。「来年は首都圏からのボランティアツアーを増やしたい」という意向も示している。周辺の宿に宿泊してもらうことで、町の宿泊施設の収益増にもつながるからだ。 東武鉄道の特急リバティを利用すれば、浅草や北千住を出発後、約3時間30分で南会津町の主要駅である会津田島に乗り換えなしで到着できる。会津田島から下郷町までは会津鉄道を乗り継ぎ約20分。雪月火の開催期間中は、大内宿入口から雪月火会場までを無料シャトルバスが運行する。 誘客に当たっては、近隣地区住民や町との連携が欠かせない。2日目は吹雪の中での開催となったが、実行委員会によると約1000人の参加があったという。回を重ねるごとに知名度も上がり、近隣地区もイベントへの誘客に力を入れているためだ。会津若松市にある芦ノ牧温泉など近隣の宿泊施設が宿泊者向けに、なかやま雪月火を訪れる着地型商品を作るなど新たな取り組みも進んでいるという。また、南会津町などのスキー場へのツアー客が、ついでに訪いて中山地区に限った話ではない。だが、山々に囲まれる景観や日没後に流れる静寂な空気が、ろうそくの明かりを際立たせる。また、会場の中心となるなかやま花の郷公園には、春から夏にかけて見られる芝桜の丘や菜の花畑がある。この傾斜を利用して灯籠が設置されるので、棚田の夜祭りを彷彿させるともいわれる。 今年は2日間かけて実施したため、ろうそく作りにかかる時間など地域住民にかかる負担も大きくなったようだ。しかし、無事終えることができた要因として、イベント開催前にミニかまくら作りや会場設営などの準備を手伝ったツアー参加者の存在があった。 ツアーを手掛けたのは2社。1社は東武トップツアーズで、「ミニかまくら作り体験ツアー」として会場の設営など事前準備のみに参加する日帰りツアーと、事前準備とイベント参加がセットになった1泊2日の2種類を設定。宿泊先は同町にある星乃井宿を手配した。もう1社はイオンリテールだ。戊辰戦争150周年を記念した1泊2日で東北を楽しむ体験型福袋として「極上の会津旅」を売り出した。会津若松市にある鶴ヶ城や大内宿などと合わせて雪の灯籠づくりを組み込んだ。 実行委員会である下郷町商工会の渡部恵子氏は、「今後も継続してイベントを実施するために、地域にお金を落とれるといった旅のスタイルも定着しつつある。 隣接する南会津町には、雪質の良いパウダースノーが売りのスキー場があり、ウインタースポーツを満喫できる。例えば、会津高原たかつえスキー場は初心者から上級者まで楽しめるコースを幅広く備えており、修学旅行生をはじめ、プロ級のリピーターまでが訪れる。また、標高1000mのゲレンデでの冬の星空鑑賞や樹氷を見に行くアクティブツアーなどは、雪が珍しい地域から来る訪日外国人も手軽に楽しめる。 遠東航空が台湾のチャーター便を運航する福島では、台湾からの訪日外国人が増えているが会津にはまだまだ少ない。一方で、たかつえスキー場を運営する会津アストリアホテルズでは、外国人研修生を受け入れている。鈴木昭弘ホテル営業部長は、「訪日外国人の取り込みも積極的に行いたい」と話す。 なかやま雪月火が冬のイベントとして定着してきた今だからこそ、訪日外国人客の取り込みなど新たなフェーズに移行する機会にある。下郷町観光協会の浅沼弘志会長は、「来年は多くの訪日外国人も参加してもらいたい」と意気込む。2月16日の雪月火には、たまたま参加したというハリウッドの映画監督を魅了した。今後、近隣地区への誘客の中心的役割を担う可能性も秘めている。近隣地区とも連携する3456789TRAVEL JOURNAL 2018.4.2 31