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概要

TJ180402

■ 現地取材報告 福島県会津郡下郷町会津地方の南部にある福島県会津郡下郷町。大内宿から車で約20分ほどの距離にあるなかやま花の郷公園と周辺農地で、じわじわ盛り上がりを見せ続けてきた冬のイベントがある。なかやま雪月火だ。その背景と今後のさらなる誘客の可能性を探った。取材・文/藤井真代魅せる芸術作品で誘客灯火を絶やさぬ決意に広がる輪住民の声もある。大内宿から車で約20分ほどの距離に位置するなかやま花の郷公園も例外ではない。 しかし、05年に「限界集落に立ち向かう」と、なかやま花の郷公園と周辺農地の集落に住む住民らが立ち上がった。中山地区青年会メンバーが村に人を集客する方法はないかと検討を重ね、ろうそくに火を灯す冬の雪イベント「なかやま雪月火(せつげっか)」を企画した。毎年継続して実施し、じわじわと盛り上がりをみせ続け、近年では、大内宿の雪まつりに次ぐ冬のイベントとして認知度を定着させつつあるという。こだわったのは、魅せる芸術作品をつくること。13年には日本夜景遺産に認定された。今年は2月16日と17日に開催され、2日にわたる初めての試みとなった。 福島県会津郡下郷町は、会津地方南部に位置し、南会津町や栃木県那須塩原市と接する。那須山系などの山々に囲まれる人口約6500人の村だ。町のほぼ中央を南西から北東に阿賀川が貫流し、100万年の歳月をかけて侵食と風化を繰り返し造りあげられた塔のへつりなど、雄大な渓谷を形成してきた。迫力ある景観が楽しめる。 下郷町には国重要伝統的建造物群保存地区に指定された大内宿がある。江戸時代の宿場町の面影が色濃く残る観光地として有名で、今では年間平均約80万人の観光客が訪れる。だが、町内での二次交通が充実しているとはいえず、なかなかそれ以外の観光地に足が向きにくいという問題もある。「大内宿だけの賑わいが目立って」という地域 イベント当日の点火開始時刻は午後4時30分。事前に地域住民によってミニかまくらの中に設置されたろうそくは、参加者の手によって、1つ1つ灯されていく。まさに雪の灯籠といえる作品約2000個の完成を目指し、雪で覆われた大地に明かりの輪を広げていく。対照的に徐々に暗くなる空から顔を出すうっすらとした月明かり。参加者は、ろうそくに火を灯すことで、日没後に味わう幻想的な空間を演出する一員となることができる。 雪月火の会場となる中山地区は、周囲が山に囲まれる地域で少子高齢化が進むエリアだ。限界集落として負の要素になりがちな地形は、日本列島にお幻想的空間を一緒に創る1 230 TRAVEL JOURNAL 2018.4.2