ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

TJ180402

はらだ・むねひこ●1954年生まれ。2008年大阪五輪招致では招致委員会参与、16年東京五輪招致ではJOCオリンピック招致推進プロジェクトに所属。日本スポーツマネジメント学会会長、Jリーグ理事を務め、05年から早稲田大学スポーツ科学学術院教授。12年の日本スポーツツーリズム推進機構設立と同時に現職。Profileに行われましたが、両チームにタイ人選手が参加しました。応援団としてタイから100人が訪れたそうで、自国の選手を応援に旅行するというのは強力な理由の一つです。 いくつか例を交えながら話したとおりスポーツ資源は無限にあります。隠れた資源を旅行商品化するため、何もない場所に、気づきや発想の転換により、どのような価値を生み出すかが課題になります。人里離れた田園地帯に舗装された道路が伸びているような景色は国内どこにでもあります。マラソンや自転車競技の関係者にとっては最高のトレーニング環境となります。隠れた資源であるスポーツを「顕在化」させる発想が求められているのです。 日本のスポーツツーリズムは、成長期に差し掛かっています。09年に政府の観光推進本部にスポーツツーリズム推進連絡会議を設置。11年6月にスポーツ推進基本方針に則り、日本スポーツツーリズム推進機構(JSTA)が12年4月に設立されました。この時期を萌芽期とすると、その後、15年にスポーツ庁が設立され、政府が策定した日本再興戦略2016にスポーツの成長産業化が盛り込まれ、翌年の未来投資戦略2017の中で明確にスポーツツーリズムの活性化が謳われました。 このような導入期を経て、17年3月には、スポーツ庁の第二期スポーツ基本計画に地域活性化を進める司令塔である地域スポーツコミッション設立の支援が盛り込まれました。17年6月には、鈴木大地スポーツ庁長官がアウトドア宣言を行い、10月にはアウトドア需要拡大のための官民連携協議会が発足しました。 スポーツツーリズムが官民で盛り上がるなか、近い将来、スポーツを目的に訪れる外国人観光客の割合を1割の水準に持っていきたいと考えています。ニュージーランドやオーストラリアでは、場所によって25 ?50%がスポーツツーリストであるといわれています。日本も、「爆買い」ブームから、地方を巻き込んだ体験型旅行ブームへと移行しており、今後はスキーや登山、スポーツイベントへの参加といったアクティビティ中心のインバウンドツーリズムが盛んになるのではないかと考えています。 今後は都市戦略として取り組む必要がありますが、中心的な役割を担うのが、JSTA とスポーツ庁が設立を支援する地域スポーツコミッションです。市、県、広域連携、NPO などさまざまなレベルで全国に誕生し、現在約90団体にのぼります。 11年に一番初めに発足したのがさいたま地域スポーツコミッションですが、そもそもさいたま市にはアウトドアスポーツ資源はありません。一方で、さいたまスーパーアリーナや埼玉スタジアムなどの一級品の施設があり、都会的なスポーツに適したところです。スポーツイベント誘致などに取り組んだ結果、16年度の経済効果(推計)は65億8000万円となりました。なかでも13年からの自転車レースのツール・ド・フランスさいたまクリテリウムには、毎年10万人以上が観戦に訪れています。 NPO 法人の銚子スポーツコミュニティ(千葉県銚子市)は廃校になった高校を活用するために、銚子市とともに第三セクターを設立し、野球専門の司令塔としての地域コミッションTRAVEL JOURNAL 2018.4.2 27