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概要

TJ180402

TRAVEL JOURNAL 2018.4.2 25今日からできる120%予算達成術●自らの体験を自分たちのサービスに西川さま、はじめまして!ようこそ、ケンです。西川様、本日のお座席はこちらになります。あれ?そんなに乗っていないのに名前を呼んでくれた。どうして名前がわかったんだろう。なんだかお得意さんみたいで、うれしいなぁ。ご搭乗いただきありがとうございます。座席の案内をさせていただきます。搭乗券を拝見できますか?3つのポイント? 目的を持った行動はいかなるお客さまの声にも負けない力を持つ。? 自ら体験して理解しできたことはスタッフの心の中で動き始める。企業は体験する機会と見るべきポイントだけ伝えればよい。? できないのではない。やり方を見つける努力をしていなかっただけ。それに気づけば、その後の行動は早い。 という環境を自然にスタッフたちに創り出していたのです。そのたがが外された瞬間にスタッフはお客さまより目の前の仕事を見てしまったのです。そのサービスではクレームのない行動は創造できても、また必ず利用したいという感動的なサービスを創り出すことはできないのです。 あまり使う機会のない航空会社を最近使うようになりました。何度目かの搭乗の際に利用便が欠航になりました。急ぎの出張だったために一番近い時間の他社便に予約を取り直しました。費用について問い合わせると、差額を返金すると回答を得ました。手続き方法が書いてあったメールをうっかり消してしまい次の搭乗の際にカウンターで問い合わせたのです。 しかし記録には記載されていなかったようで、カウンタースタッフにはどのような内容なのか説明しないとわからなかったのです。搭乗まであまり時間がなかったのでゲートに急ぎました。また次の機会でいいと考えていました。 驚いたことに翌朝にはその航空会社からメールが入っていたのです。わざわざ申し出ていただいたにもかかわらず、カウンターで対応できなかったことへのお詫びと返金方法について書かれていたのです。その対応に感動を覚えました。時間がなかったためにカウンタースタッフとの話はその時点で終わったものと考えていました。しかし、終わっていなかったのです。 私の声は担当部署に伝えられていたのです。忙しい時間帯のチェックインカウンターでのことです。しかも私は年に数回しかその航空会社に乗らない人間です。重要な会員メンバーでもないのです。伝えておいてほしいといったわけでもありません。伝えられなくても、大きな問題になるわけでもありません。しかし、カウンタースタッフには大きな問題だったのです。お客さまからの問い合わせに答えられなかった。その悔しさがバトンとなって、問題解決のために次のスタッフに伝えられたのです。 航空会社のCA(客室乗務員)の研修をスタートするに当たって、良いサービス体験を数多く経験しておくという課題を出しました。普段、プライベートであまり行く機会のないようなホテルやレストランでの体験です。そして、インプットしたサービス体験を自分たちの仕事に生かすためのアウトプット行動として発表しようと研修を始め、すぐに成功であったと確信しました。 名前を呼ばれることにさほど関心のなかったCAが、サービス体験したホテルやレストランで名前を呼ばれることで、そのうれしさを知ったのです。自分たちの仕事に積極的にお客さまの名前をお呼びしようという意見も出たのです。 問題は搭乗してくる方々の顔を見ても名前がわからないということでした。検討の結果、1つのすばらしいチャレンジを始めることになりました。すべての方の名前をお呼びすることは現時点で難しい。よく搭乗する会員の方はある程度わかるので呼べるだろう。あまり印象にない方や初めての方は名前がわからないが、搭乗してきた時に座席案内するふりをして搭乗券を見せてもらう。 その時に、これまでは座席番号しか見ていなかったが、まずは名前を見よう。そして、「○○様、お座席はこちらになります」と、名前を呼んで案内しようと意見がまとまりました。 自ら体験して感動したサービスを、自分たちの意思で自らのサービスに置き換えて行動を創り出す。この行動は失われることなく、間違いなく発展、昇華していくサービスとなるでしょう。良い体験を経験することでにしかわ・じょうじ●旅行会社勤務時代の視察旅行の企画、営業の経験を活かし、船井総合研究所観光ビジネスチームのチーフコンサルタントとして、新しい観光・旅行会社のあり方を提案。17年間のコンサル業務で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、即時業績改善とネットワークづくりを追求し、09年1月に㈱観光ビジネスコンサルタンツを起業。ブログはhttp://tourismbiz.blog34.fc2.com(次回は4月30日号に掲載します)