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概要

TJ180402

24 TRAVEL JOURNAL 2018.4.2 120%予算達成術西川丈次観光業経営コンサルタント今日からできるSEMINAR 「日本社会はサービス過剰」という言葉を耳にしてどれくらいになるでしょう。私たちはそんな過剰といわれるサービスを毎日のように受けています。しかし、そこに感動はありますか。その店にまた行きたい、そのサービスを提供してくれた方にまた逢いたいと、どのくらいの人が感じているでしょう。なぜ過剰といわれるサービスを提供しながら思うようにリピーターが創り出せないのか。この答えを持たずに、お客さまの支持を得るために努力しても結果は変わりません。 高めようとするサービス行動が、マナーレベルに過ぎないことに大きな問題があるのです。つまり、悪いサービスをなくしてクレームを減らすことが目的となっているのです。これでは事業の目的である「創客」を手に入れることはできません。それでも、うちはまだマナーすらできていないのでという幹部の方々の声を聞くのです。 そのたびに思うのが、だから過剰といわれるサービスを提供しても業績が上がらないのだと。クレームがあって、その改善に力を入れることは大切ですが、逆にその改善が進められることでお客さまが感じていたお店や企業への感動が失われていくことも忘れてはならないポイントです。何を改善し何を残すのか。それを見極めていくことが経営者や幹部の最も重要な仕事です。 多くのお客さまがいるところで名前を呼ばれて嫌な思いをしたというお客さまの声が届いて、名前でなくお客さまと呼ぶようにした企業があります。私も実際に「西川様」から「お客さま」に変わった企業に出逢って、残念に思ったことがあります。私の知り合いも同じ企業にそれを感じていたというのです。その企業を使うことをやめた方も少なくありません。 企業に届く声が、多くの人が感じるやめてもらいたいサービスとは限りません。逆にそのサービスをうれしいと思うお客さまも多くいるのです。それがその企業やお店を使うポイントになっていることもあるでしょう。しかし、名前を呼ばれることが嫌だというお客さまのように企業に声を届ける人は少ないのです。 だから、一部の声の大きな方の意見だけを鵜呑みにせず、自分たちの目指すサービスのあり方という羅針盤をしっかり持たないといけないのです。どのようなサービスでも、それを実行する目的を根っこに持たないといけません。目的さえしっかり持っていれば、お客さまの声が改善しなければならない宝の声なのか、自分たちが求めるお客さまではないのかを現場スタッフも判断できます。 もう1つ大切なことは、その行動を失くすことで起こるデメリットの見極めです。知り合いは、名前を呼ばれなくなったからという理由でその企業を使わなくなったわけではありません。名前を呼ばなくてもよくなったサービス提供者のサービスが、全体的に劣化したことが原因です。 名前を呼ぶということは、お客さまに興味を持つ創客できないサービスおもてなしの根っこサービスをどこまで高めていけばよいかという悩みをよく聞きます。しかしその前に、経営の目的を示すことが重要です。クレームのないレベルを目指すのか、リピーターを創り出すのか。この2つは別の道にあるのです。Lesson140