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概要

TJ180402

らです。グーグルは昨年、リアルタイム翻訳イヤホン「Pixel Buds」を発表しました。異なる言語を自動通訳し、会話できるシステムが実用化されつつあるのです。 さらに「判断の流動化」も起きています。日本人はタビマエの情報収集を熱心に行う傾向がありましたが、これは言葉の問題もあってタビナカでは情報が限定的になることが大きな要因でした。ところが、常にインターネットにつながる環境があれば、旅先でもどこでも日本にいるときと同じように日本語の情報にアクセスできます。これにより、タビナカでいつでも気ままに予定を立てたり変更したりする判断の流動化が起きているわけです。 しかも、体験やサービスを提供するマイクロアドベンチャーの台頭によるアクティビティーの変化が流動化をさらに促しています。テクノロジーの進化で多くの問題を解決できるようになり、短い時間単位のアクティビティーを用意することが可能になり、少人数でも利用できる。何日も前から予約しなくても、スマホで探してすぐに申し込み、その日のうちに体験できる。それがまた判断の流動化を後押しするわけです。 ではこれから何が起きるのでしょうか。これも4つあります。ひとつは「リモート化の進化」。たとえば在宅勤務の観光ガイドを可能にします。米国で開催される世界最大規模の旅行デジタルカンファ 旅行とデジタルの重なる領域でいま何が起きているのか。大きく4つあります。まず、「タビマエ・タビナカ・タビアトの変化」です。これまでの旅行会社に求められてきた役割は圧倒的にタビマエにおけるものでした。つまり旅行の申し込みまでで、加えるとしてもオプショナルツアーまでです。その先はあまり関わる必要がありませんでした。 ところがいま、タビナカでの役割が急速に重要性を増しています。旅行者がスマートフォンを使ってSNS に投稿し、旅の魅力を発信するのが当たり前になってきたからです。したがって、これからは旅行会社がタビナカにおける旅行者とのコミュニケーションを強化し、次の顧客、次の旅行需要につなげていく取り組みが非常に大切になってきています。 「仕事と休暇の境界線のあいまい化」も進んでいます。仕事とバケーションを組み合わせた「ワーケーション」や出張(ビジネス)のついでに休暇(レジャー)をとるという「ブレジャー」といった新しい概念が生まれ、実際に日本航空がワーケーションに取り組んでいたりします。 そして「コネクテッド・トラベラーの時代」の幕開けです。直訳すれば「つながる旅行者」ですが、ひとつは常にインターネットにつながっているという意味です。スマホを家に残して旅行に出かける人はいません。旅行中にスマホで「次に何をしようか」と探し、体験をSNS 経由で発信する。つまり常に誰かとつながっているのです。旅行先では地元の人々ともつながります。これまでつながる前に立ちはだかっていた言葉の壁がなくなろうとしているか─3月例会抄録─テクノロジーが新たな観光生むいま起きていること、これから起きること旅行とデジタル旅行がデジタルと結びつくことで、旅行ビジネスは大きく変貌しようとしている。その変化の波は旅行の定義さえ揺さぶり始めている。旅行とデジタルの重なる領域でいま何が起き、これから何が変わろうとしているのか。鶴本浩司氏トラベルボイス代表取締役社長20 TRAVEL JOURNAL 2018.4.2