ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

TJ180402

 美しい景色とゆったり流れる時間、そんなイメージがあるリゾート。そこは、ビジネスから離れるべき場所の代表かもしれないが、実は、ビジネスイベンツであるMICE にとって、リゾートは大いに意義のある開催地の1つとなっている。 ハワイコンベンションセンターでは一時期、「ビジネスに効くアロハクオリティ」をセールスコピーに使っていたという。職場や都市部から離れた開放的な環境はビジネスを進めるうえで効果的であり、難しい事案ほどリラックスした場が良い、との考えから生まれたうたい文句だ。 リゾート地の経済を主に支える観光関連産業は、好景気の時やインバウンドが好調に推移する状況では非常に強いものの、ひとたび政治や経済、災害など問題が生じた場合に影響を受けやすい。米国本土から離れているにもかかわらず、9.11があった01年には、ハワイへの訪問者数は発地を問わず減少し、大きな打撃を受けた。 一方、ICCA(国際会議協会)がまとめた学協会系の国際会議の統計では、開催件数にその影響がほとんど表れていない。参加者数も01年は他の年と比べて遜色ない実績となっている。国際会議はかなり早期から計画・準備を進めており、なおかつ定期的な開催が求められるため、比較的中止しにくいからだ。ミーティングやインセンティブなどに影響がないとはいえないが、やはりMICE は観光産業における“保険”といえるのではないか。 MICE はこれまでその土地を訪れたことのない人を取り込む絶好の機会でもある。15年のアジア弁理士協会総会では、主催者の予想以上に、「沖縄に関心はあったが時間がなく来たことがなかった」という国内参加者の増加が見られた。開会式やパーティーで提供される開催地ならではの伝統芸能や料理は、参加者の満足度を高める効果を上げている。また、交流重視の会議では、観光や買い物、ゴルフなどのアクティビティーを存分に楽しませるプログラムが用意され、日本の安全や信頼性、さまざまなサービス、ブランドを示す機会にもなる。滞在中の印象が良ければ、新たなリピーターを生むだろう。 もちろん、経済面での貢献もある。MICE は一般観光よりも同一都市での滞在期間が長く、参加者消費額のみならず主催者事業費も加わることで、開催地にとって消費額が大きくなる傾向がある。1件1件のMICE 開催の積み重ねは、共感者を増やし後々まで続く影響力となる。 こうした背景から、“リゾート”を主力産業化する沖縄で外せない注力分野として、MICE への認識をさらに高めてほしい。 沖縄の入域観光客数は17年に初めてハワイを超えたが、平均滞在日数や消費額など各項目の数字を比較してみると、両者の違いと沖縄の課題が浮かび上がる。ハワイが目指すのは単純な観光客数ではない。発着する国内線・国際線の座席数やホターゲット定めた誘客策に学び主催者リスク補いMICEを戦略的活用武内紀子コングレ代表取締役社長世界水準リゾートへの要件16 TRAVEL JOURNAL 2018.4.2