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概要

TJ180402

 沖縄とハワイの訪問客数を比較した場合、成長力には違いが、安定性には比較的似た傾向が見られる。成長力に関しては沖縄が大きく上回っている。12年にはハワイ803万人に対し沖縄584万人と200万人以上の差があったが、その後、5年で逆転した沖縄のこの間の平均伸び率は10%。ハワイは3.2%で沖縄の成長力の高さは明らかだ。 ここ数年の安定性に関しては、沖縄、ハワイとも共通しているが、ハワイがやや上と見ることもできる。ハワイはリーマンショックの影響を受けて08年・09年が2年連続の前年割れとなったが、10年以降は8年連続で訪問客数が増加しており、安定的に成長を遂げている。また沖縄も11年の東日本大震災の影響を克服した12年からは6年連続の増加だが、ハワイには及ばない。 観光収入も同様の傾向が見られる。12年と16年を比べた場合、伸び率は沖縄が67.1%であるのに対し、ハワイは10.8%で沖縄の伸びが圧倒している。安定性に関しても観光客数と同様の傾向で、ハワイが10年以降、16年まで7年連続で観光収入を伸ばしているのに対し、沖縄は12年以降の5年連続にとどまっている。 訪問客の内訳でも異なる点がある。最大の違いは国内客と海外客の比率だ。17年の実績で比べると、ハワイは983万人のうち38%に相当する350万人以上が米国外からの旅行者だが、沖縄は全体の73%の685万4000人が国内旅行者であり、外国人旅行者の比率は3割に満たない。海外客の比率には10ポイント程度の開きがある。 もっとも沖縄の外国人旅行者数は大幅に伸びている。17年は前年比22.1%増の254万2200人に達しており、台湾(29.6%増)や韓国(21.3%増)が20%を超える伸び率となっている。注目されるのは、主要市場である台湾、韓国、中国、香港以外の国・地域からの旅行者数の伸びも22.1%に達している点だ。17年の詳細はまだ公表されていないが、外国人旅行者全体の伸びが26.3%だった16年の公表データを見ると、アジアではマレーシア(60.1%増)、シンガポール(59.0%増)、ヨーロッパではフランス(74.7%増)、ドイツ(43.4%増)などが大きく拡大した。実数では中・台・韓といった主要国と1桁あるいは2桁の違いがある国々のため、伸び率が大きくなる傾向があることは割り引いて考える必要があるものの、逆に言えば伸びる余地が大きいともいえる。こうした国々が示す高い伸び率は、沖縄を訪れる外国人旅行者の今後の増加に期待を感じさせるものだ。 消費額の違いも大きい。絶対額を比較すると、沖縄県の16年の観光収入は6525億5400万円に対し、際立つ観光収入の違い泊数と海外率に大きな開き数字で見る沖縄vsハワイ観光客数を順調に伸ばす沖縄だが、ハワイと比較すると課題も見えてくる。同時にその課題をクリアできれば、名実ともにハワイ超えを実現できる。沖縄とハワイの観光統計を比べた。取材・文/高岸洋行TRAVEL JOURNAL 2018.4.2 12