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概要

TJ180402

●沖縄とハワイの観光客数推移資料:沖縄県、ハワイ・ツーリズム・オーソリティ ※国内外の合計観光客数(万人)目白押しだ。17年にはホテルアクアチッタナハ、JR九州ホテル・ブラッサム那覇、ユインチホテル南城・新館、那覇ウエスト・イン・アネックス、リンケンズホテルなど、国内ブランド系の開業が続き、18年以降はハイアットリージェンシー瀬良垣アイランド沖縄(18年8月)、ダブルツリー・バイ・ヒルトン(18年夏)、ハレクラニ沖縄(19年)、ヒルトン沖縄瀬底リゾート(20年)などの外国系ブランドの開業が予定されている。このほか、星野リゾートやケン・コーポレーションも20年の開業を目指し、ホテル開発を進めている。 順風満帆の沖縄だが、本当の意味でハワイを超えるには乗り越えなくてはならない課題もある。最大の課題は消費額の拡大だ。沖縄県の16年の観光収入6525億5400万円に対し、ハワイを訪れた旅行者による消費額は159億1120万ドル(約1兆6700億円)。ハワイは沖縄の2.5倍以上を観光で稼いでいる。この違いを生む大きな要因が滞在日数の違いだ。ハワイの平均滞在日数が8日以上なのに対し、沖縄は5日に満たない。平均滞在日数を延ばすことが、沖縄での消費額を増やす大きな力となる。 しかし、国内客に多くは期待できない。働き方改革や休暇改革が叫ばれているものの、日本人の労働環境や休暇取得率が短期間で改善するのは難しい。また外国人客も、現在の市場構成を見ると、もともと短期の旅行を好むうえに距離的にも近い東アジアからの旅行者が多く、手軽に安く短期の海外旅行を楽しむ客が中心となっている。17年の外国人客254万2200人のうち、台湾・韓国・中国・香港からの旅行者数は207万1200人と全体の8割を占める。 昨年3月に県が第5次沖縄観光振興基本計画改定版で掲げた21年度までの目標値は、観光収入1兆1000億円、入域観光客数1200万人、平均滞在日数4.5日など。これらを達成するには、国内客や東アジアからの旅行者だけでなく、より長期滞在を好む欧米豪市場をこれまで以上に取り込む必要がある。県も同計画の中で少子高齢化や人口減少による国内市場の縮小への懸念について言及しており、「国内市場へのアプローチは継続しながら戦略的に海外市場を開拓し、沖縄観光の積極的な転換点となる10年としていく」とターゲットの転換を図る方向を打ち出している。 これを受けて昨年9月に発表された沖縄観光推進ロードマップでは、「旅行市場が成熟し長期滞在が期待できる欧米等のリゾート需要と、1人当たり消費額の向上と観光収入増が期待できる海外の富裕層を明確にターゲットとして位置づけ、市場分析と受け入れ体制の整備を進めつつ、誘客に取り組んでいく」と欧米重視の姿勢を強めている。県では、「欧米豪に対するプロモーションを強化することと並行して、航空路線を確保することが重要であり、さまざまな取り組みを始めている」(観光政策課・前原正人課長)とのことで、具体的には3月15日に国際旅客ハブ構想を発表したところだ。 同構想では、アジアだけでなくヨーロッパからの観光客を取り込む狙いがあり、沖縄の地理的特性を生かし、那覇空港を海外からの国際的な乗り継ぎ拠点とすることで、新たな周遊ルートの提案などを行う。全日空(NH)とルフトハンザ・ドイツ航空(LF)が連携することになっており、東京オリンピック・パラリンピックが開催される20年度にはドイツ/沖縄線の就航を目指す。 次ページからは、沖縄とハワイを観光指標で比較するとともに、世界水準リゾートになるための要件を識者の目線で捉える。欧米市場の獲得に本腰1000500060070070254273080090010 11 12 13 14 15 16 17(年)沖縄ハワイ584803641817706831776868861893940 938586TRAVEL JOURNAL 2018.4.2 11