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概要

GPR1908

識者から成田空港へのエールNEWS&TOPICS1978年5月20日開港100万回1990年11月6日開港から12年5カ月17日200万回1998年12月23日100万回達成から8年1カ月17日300万回2005年6月8日200万回達成から6年5カ月16日400万回2010年9月4日300万回達成から5年2カ月27日500万回2015年6月2日400万回達成から4年8カ月29日600万回2019年6月7日500万回達成から4年0カ月5日●累計600万回達成の推移 今の成田空港はとても魅力的にみえる。それは将来計画を持ち、その実現のためのプロセスを全うして過去の問題を乗り越え、地域と一体となって前進する姿を世界に示していくだろう。 破壊的テクノロジーはバイオ、ナノ、ロボティクス等、AIと組み合わさった多様な分野と関係するが、大学における産官学連携担当という役目柄、それらのフロンティアを目の当たりにすることも少なくない。そこで感じるのは、日本がイノベーションで一層成長を遂げるためには、創造性溢れる人々が世界中から集まる類稀な魅力を持つ必要性である。メインゲートである成田空港の魅力向上も無関係ではないだろう。 ただ、「破壊」的技術によって未来の「社会」が造られるとして、そのとき「破壊」には何が必要であろうか。答えは、破壊と社会をローマ字で書けばお分かり頂ける。破壊にSを加え社会にする必要がある(HAKAI→SHAKAI)。Sを頭文字に持つワードには、英語でセーフ、セキュア、スマート、スケーラブル、サスティナブル等がある。これらがなければ、破壊的テク化など、空港を取り巻く問題が社会で一層受容可能なものに変化して行くだろう。 さて、成田のような大空港の魅力は、人々やモノが行き交う場を陰で支える膨大なテクノロジーの集積にもある。航空管制の最新テクノロジー、貨物や旅客の荷物をハンドリングする大規模システム、エアラインのフライトを支えるイノベーション等、昨今のAIやIoT、データ活用による破壊的テクノロジーにより、空港は想像を超えて一層進化して行やい・てつお●東京工業大学助教授等を経て現職。2017年より産官学連携担当の副学長。交通政策審議会委員。アジア交通学会(EASTS)会長。専門は土木計画、交通計画。Profileるからだ。他方、ロンドン・ヒースロー空港などは、20年近く前から同様な構想を持っているが、長らく迷走を繰り返し、EU離脱決定後に漸く政府方針が再確定したものの、最近の政情に照らせば推進に更に長期間を要すると思われる。 ロンドン、パリ、ニューヨーク、そして東京、これら4大世界都市の中で、空港容量が劣った東京が漸く差を縮められる。日本の国際競争力にとって、この上なく重要であり、心強く感じるところである。この間の成田空港の取り組みに最大級のエールを送りたい。将来的には、更なるイノベーションによって、航空の安全性の向上や環境負荷の低減、低騒音ノロジーも社会を形成できないだろう。 蛇足ながら、テクノロジー系大学が社会の創造に貢献するには、広く産業界等から一層の「サポート」(別のS)を期待したい実情もあるが、さて、成田空港には未来の社会のため「セレンディピタス」(これも別のS)?素敵なものに偶然出会えるような?イノベーションに満ち溢れた魅力的な空港創造を目指して頂きたい。成田空港の未来とテクノロジー屋井鉄雄(東京工業大学副学長・教授)【】航空機発着回数累計600万回達成アジア方面を主にしたLCCの新規就航や増便が後押し 1978年5月20日の開港以来、航空機発着回数が累計600万回を6月7日に達成した。成田空港は今年で開港41年を迎えたが、これまでの間、日本の空の玄関として発着回数は順調に増加。近年はその勢いがさらに増し、500万回を達成した2015年6月2日から最速となる4年0カ月5日で100万回を積み上げた。 これを後押ししたのが、韓国などアジア方面を中心としたLCCによる新規就航や増便の動き。例えば、500万回を達成した2015年夏ダイヤと2019年夏ダイヤのいずれも期初の乗り入れLCCは13社から19社へ増加し、国際線旅客便におけるLCCの発着回数シェアを比べると、9.6%だったものが21.5%と2倍以上に増えている。また、国際線と国内線を合わせた旅客便全体でも24.1%から32.4%に増えており、現在成田空港を発着する旅客便の3分の1以上がLCCという状況になっている。さらに、NAAグループによる2019?2021年度の中期経営計画において、2021年度までにLCCによる発着回数のシェアは37.5%程度、2030年度ごろに45%程度、さらに年間発着回数50万回を達成する2030年代後半には50%超えを見込んでいる。 すでにLCCは名実ともに、成田空港のさらなる成長を支える大きな柱となっている。その成長に対応するための一環として取り組んでいる第3ターミナルの能力増強工事も、到着ロビーの増築による出発動線と到着動線の分離が間もなく実現し、処理能力の増強が図られることになっている。Aug. 2019 7