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概要

GPR1908

地上3.6mの高さに赤外線カメラを設置した赤外線路面点検車サーモグラフィック画像(左)を解析すると温度差画像で変状箇所が分かるサーモグラフィ(測定)画像温度差(解析)画像←変状箇所 広大な空港敷地内の多くはアスファルトまたはコンクリートで舗装されているが、滑走路やエプロンには、重いもので約500tもの機体重量の負荷がかかる。また、太陽光や降雨などを受けてのひび割れや剥離等の経年劣化も避けられないことから、日々の点検と予防保全としての修繕作業が空港運用業務の中で必須となっている。 成田空港では制限区域内の基本施設舗装面(滑走路・誘導路・エプロン)の日常点検はグループ会社のAMCOに委託している。点検エリアは約410万㎡にわたり、24時間365日実施している。今回導入した赤外線路面点検車はその作業に活用、最新技術の投入により、点検レベルの高度化と点検時間の効率化を図る。 赤外線カメラを搭載したこの点検車は、舗装の温度差を測定することで、従来目視では確認できなかったアスファルト舗装内部の変状を可視化することができる。健全な状態の舗装では舗装表面に温度の違いは現れないが、舗装内部に空洞などがある箇所では舗装表面に温度差が現れる。この特性を利用して、舗装表面の画像を撮影(サーモグラフィ画像)し、専用のプログラムでその温度差を解析画像として車内のモニターに映し出す。この点検車を使えば、30㎞/hで走行しながら横幅4.5mの舗装面を測定することができ、作業スピードは約4倍に早まる。 これまでの点検は、車上からの目視に加えて、劣化や損傷が疑われる場合は車から降りて、点検ハンマーで叩いて打音チェックを行う。しかしこの方法では、表面に変状が現れていないと発見が困難であることに加えて、人間の能力に頼るため十分な知見と経験が必要になる。一方、今回導入した点検車では、赤外線カメラにより舗装内部の変状をダイレクトに検出することができるのをはじめ、計測機器を車両に搭載したことによる検査の高速度化、およびシステムによる変状評価の均質化が図れるというメリットがある。 成田空港では今後、更なる機能強化の一環で、夜間飛行制限の変更に伴って点検に充てられる時間が短くなるほか、新たな施設の増設で点検の対象範囲が広がることになる。一方で、生産年齢人口の減少により点検業務においても担い手不足が想定されることから、中期経営計画でも掲げるスマートオペレーション(デジタル技術を活用した生産性の向上)を推進して、万全の空港運用を引き続き実現していく。赤外線カメラを活用した路面点検車を導入空港運用業務の生産性向上を推進NAAはグループ会社のエアポートメンテナンスサービス(AMCO)と協力し、成田空港の滑走路・誘導路への点検業務に赤外線カメラを搭載した車両を導入した。それにより、安定的な点検作業が可能になるとともに、作業の大幅なスピードアップが図れる。6 Aug. 2019 ZOOM UP! 3