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概要

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第2ターミナル:サテライト 到着コンコース企画・立案にあたっては欧州とアジアの複数の空港を視察1 ミュンヘン空港の館内案内システムを体験 2 ウィーン空港では施設改修時における利用者の快適性・利便性についてミーティング 3 香港空港では館内の装飾も視察空間全体で明るさ感の確保旅客を誘導する照明計画遠くから視認できる大型サイン感覚的に進むべき方向が分かる床の張り分け132き出したことが、この計画における大きな特徴となっている。 バリューアップ計画の企画・立案では、「お客さまが施設にどのような不満を抱いているのかを把握するため、航空会社などへのヒアリングには多くの時間を費やしました」(施設保全部建築グループマネージャー 髙克行氏)。これにより第1ターミナル北ウイングの出発ロビーは、「施設が全体的に暗く、これから海外に出かけるという高揚感が感じられない」などの声をあらためて認識。また、「空港に早めに到着した際にも、同行者と待ち合わせをする十分なスペースがない」といった不満があることも確認した。 これらのヒアリングだけでなく、欧州やアジアの複数の空港を視察し、空港ごとに特色は異なるものの、共通していたのはターミナル内の“明るさ”と“見通しの良さ”に優れていることなどを発見。また、案内表示が必ずしも多くなくても、「旅客が迷うことなく進むべき方向を感覚的に理解できるよう、空間のつながりに配慮がされていることを体感しました」(同グループ主席 秋山裕之氏)。 これらの経験も踏まえて今回のバリューアップ計画では、“明るくて見通しの良い、感覚的に進むべき方向が分かる方向性のあるターミナル”にすることを目標に据えた。 プロジェクトは今夏の着工を目指し準備を進めているが、第1ターミナル北ウイングの出発ロビーでは、2006年に改修済みの南ウイングとの格差解消も図るリニューアル工事を行う。天井照明のLED化に加え、チェックインカウンターの天蓋とカウンターを白色の化粧シート張りにするホワイトリニューアルや、館内の床材を張り替えるなど、全体を視認性の高い明るい空間にする。また、効率的に利用されていないシーティングスペースは、これから始まる旅の高揚感が感じられて楽しく待ち合わせができるスペースに刷新。大型デジタルサイネージも導入し、賑わいのある空間にする。 第1・第2サテライトのゲートラウンジは、コンコースから連続させる形で床と天井の形状や色合いを揃えて、行くべき方向がはっきり分かるインテリアにする。また、ゲート番号表示などのサインも大型にする。到着コンコースも同様に、見通しがきく、内装とサインが一体となった、行くべき方向が明確になるインテリア空間を計画。さらに、第1・第2ターミナルとも日本らしさを映像や音楽で表現できる大型の“プロジェクションウォール”を設置して、訪日外国人へのウエルカム感を演出する。 第2ターミナルでは出発コンコースの壁・床・柱を明るい素材に改修し、空間の明るさ感を確保。シーティングスペースとコンコースの床材を張り分けることで、移動空間と滞留空間が直感的に分かるようにする。到着コンコースの改修も基本的な考え方は出発コンコースと同様だが、特にサテライト2階の到着コンコースは、本館の入国審査へ向かう主要動線と、乗り継ぎへ向かう動線の違いが分かりにくい。このため、誤った方面に進んだお客さまが引き返し、流れが錯綜する状況も見られる。これを改善するため、床と天井を主要動線に沿ってカーブさせ、お客さまが入国審査に進む方向を感覚的に認識できるようにする。また、通路中央の柱には視認性の高いサインを掲出するほか、乗り継ぎエリアと区別するため、一部に壁を新設してゲートのような設えにする。 これらの対応を含め、今回のバリューアップ計画は2019年度末までの完成を目指しており、成田空港はまた一段と機能的で便利な空港へのレベルアップを果たす。利用されるお客さまによる真に高い評価が得られる空港を目指してプロジェクトは日々進行していく。照明や床材等での工夫を凝らすApril 2018 GREEN PORT REPORT 3