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概要

Education181210

1 フィンレーさん宅を見学する一行。ニュージーランドでは犬や猫を飼う家庭が多く、動物アレルギーを持つ学生への対策も急務となっている2 ファームステイの寝室の一例。1軒に学生4人が滞在し、2人ずつ2室を使うのが一般的 3 ロトルアのウエスタン・ハイト高校。5学年1350人の生徒が通う 4 オークランド戦争記念博物館は、第一次、第二次世界大戦に関する展示が充実。当時の各国の情勢がよくわかる 5 映画「ホビット」シリーズの撮影が行われたセット。自然の地形を生かした空間で、ニュージーランドの映画産業にふれられる 6 テ・プイアのマオリコンサート。観客がステージに上がってダンスを習う一幕も緑の丘が連なるのどかな風景が広がる。同地方のケンブリッジでは、ファームステイ専門の手配会社として30年の実績を持つルーラル・ツアー社が周辺地域の家庭と提携し斡旋を行っている。一度に受け入れられる学生数は1家庭に4人滞在の場合で320人。専門の会社が間に入ることで、各家庭への連絡事項の伝達や学生の送迎などもスムーズに行われている。 ケンブリッジ周辺のホストファミリー2軒を視察した。1軒目のフィンレー夫妻は洗練された自宅の隣に小規模な牧場があり、牛を学生たちに見せたり、作業を手伝ってもらったりしているという。10代の子供がいるため、滞在する学生たちも打ち解けやすいそうだ。また夕食時にお皿を運んでもらうなどの手伝いを頼むことで、彼らの緊張をほぐしているという。 次に訪ねたリネッタ・スミスさんは馬のブリーダーで、自宅の敷地で馬やアルパカを飼育している。「学生たちに庭を案内して、乗馬の道具を見せたり、動物の世話を手伝ってもらったりすると、あっという間に心を開いてくれる」とリネッタさん。また、この地域では多くの家庭が日常的に海外の学生を受け入れているため、ホストファミリー同士が学生を連れて訪問しあい、違う動物を見せたり、他の家庭と交流させたりする連携プレーもある。 前述の2軒もそうだが、10年以上の実績を持つホストファミリーが多く、日本人学生との接し方を熟知している印象を受けた。 ファームステイと並んでリクエストが多いのが、現地の学校との交流だ。ロトルアではウエスタン・ハイト高校を訪ね授業風景を視察した。同校は過去20年に渡って日本の学校との交流を続けており、ロトルアの姉妹都市・別府市に姉妹校を持つほか、毎年、神奈川県の高校から350人の学生訪問を受け入れている。 取材時には6人の日本人を含む25人の外国人留学生が在籍していたが、彼らのサポートやカウンセリングを行うための専用部屋が設けられ、専任のスタッフも置かれていた。 同校で留学生のサポートを行うパティ・サットン氏は、「日本人や他国の学生との交流は、生徒たちが多様性を学び、新たな分野に興味を広げる上で非常に役立っている。今後も積極的に海外から学生を受け入れたい」と話す。また、先住民マオリの人口が多い町だけに、歓迎会ではマオリの伝統的な歓迎セレモニーが行われるそうだ。 このような学校交流が円滑に行われるよう、サポートする組織もある。スクールズ・インターナショナル・エデュケーション・ビジネス・アソシエーション(SIEBA)には、ニュージーランドの教育機関350校が登録しており、海外の学校からのリクエストに応じて国内の学校を紹介。国内の学校から会費を徴収しているため紹介料も不要だ。 研修に参加した先生からは、学生たちが街中で班行動をできる治安の良さや地元の人のホスピタリティー、自然豊かな環境などが高い評価を得た。その上で、「なぜニュージーランドを選んだかが明確に伝わる旅行内容でなければ、保護者の同意を得られない。われわれもきちんと見極める必要がある」「ただ観光したり遊んだりするのでなく、学習テーマを持って見学できる場所を訪問させたい」などの声が上がった。 オークランド、ロトルア、タウポには、環境保護、自然エネルギー、伝統文化などの学習に適した場所が複数ある。そのいくつかを紹介しよう。ワイトモ土ボタル洞窟 土ボタルを見学しながら、鍾乳洞の成り立ちを学べる。土ボタルの保護や厳しい規制の中でのツアー運営は同国のエコツアーの好例。テ・プイア 間欠泉や泥坊主などを見学し、温泉地熱帯のなりたちを学べる。マオリの工芸品、歌や踊りのショーも見学できる。アグロドーム 羊と牧羊犬のショーを見学しながら酪農の知識を得られる。アルパカなどさまざまな動物も見学できる。プロウン・パーク ワイラケイ地熱発電所のそばにある地熱を利用したエビの養殖場。エビの生態や自然エネルギーについて学べる。さまざまな学習テーマで34 6251海外教育旅行ガイド 2019 9