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概要

Education181210

 かつての海外教育旅行は、海外へ行くこと自体が国際経験を積むという体験教育だった。現地での教育内容も、歴史遺跡を訪ねたり、歴史的な建築物を見学したりして、その解説を聞く内容が主流だった。見て学ぶ、聞いて学ぶプログラムが中心だったわけだ。 しかし、近年の海外教育旅行のニーズは様変わりしている。たとえば、中学校・高等学校の段階でも海外旅行自体は経験済みの生徒が少なくない。海外生活を経験した帰国子女も増えている。国際体験そのものだけでは、海外教育旅行を実施する意義としては小さすぎるのが現状だ。 現場に足を運び、見て学ぶ、聞いて学ぶことの意義はまだまだ小さくはないものの、情報や通信テクノロジーの進化により、見たり聞いたりできる情報量は圧倒的に増大している。臨場感を伴った情報取得が可能になっているのも事実で、見たり聞いたりする学びの価値は、相対的に下がっていることも否定できない点だ。 その結果、海外教育旅行の構成要素で比重が増しているのが体験型プログラムだ。最も一般的なものは、現地の学校との交流である。同年代の若者と交流し、言葉を交わすプログラムは異文化交流や語学教育のプログラムとして人気が高い。あるいは同じく交流、語学の観点ではホームステイやファームステイのニーズも根強くある。加えて、最近では学校交流やホームステイ以外の体験プログラムのニーズも顕在化しつつある。 教育旅行や研修・視察旅行といった学びの旅を専門に取り扱うアサヒトラベルインターナショナルも、教育旅行における体験型プログラムの重要性を指摘するが、一例として挙げるのは現地の老人ホームや介護施設、病院などを訪れて行うボランティア・プログラムだ。ボランティア・プログラムといっても、英語の難しいやり取りや、身体介護などのノウハウが必要なボランティアではなく、老人との触れ合いや日本の歌を披露するといった簡単な内容が中心となる。 あるいは低所得者層へ食事を支援するフードバンクの活動に参加し、給仕役を務めるといったプログラムを採用する学校もある。異国で歓迎されたり喜ばれたりする経験や、異国で地元の人々のために活動する経験が貴重なのだという。 経済のグローバル化を学ぶプログラムとして、海外で活動する日系企業の企業訪問や、関係者による講演といった内容に対するニーズも増えている。アサヒトラベルインターナショナルでは、こうした企業訪問や企業人の講演手配のノウハウも蓄積しており、教育旅行のニーズに対応している。 海外教育旅行における体験プログラムはさまざまな内容が開発されているが、体験プログラムの実施形態として増えているのが班別学習だ。参加者全体で同様の体験プログラムを行うのではなく、班別に分かれて体験テーマを選び、基本的に生徒たちだけで行動するのが班別学習の特徴だ。自主性を育み、チームワークや自己管理能力を鍛える手法として人気が上昇している。体験学習企画への要望強まる旅行会社の手配トレンド海外教育旅行において、いまや体験型学習は必須条件。現地での学校交流やホームステイ、ボランティアなど身をもって学んだり肌で感じたりするプログラムが好まれる。海外での研究発表など、より踏み込んだ体験のニーズも高まっている。班別学習が増加海外教育旅行ガイド 2019 6