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概要

Education181210

 全修協が毎年行っている全国公私立高等学校海外修学旅行・海外研修実施状況調査によると、16年度に海外修学旅行を実施した高等学校の校数は全国で842校(公立375校・私立467校)となり、全国3589校の公立校における実施率は10.4%、同じく1321校の私立高における実施率は34.9%となっている。また、旅行件数は1107件(公立406件・私立701件)、参加生徒数は14万5944人(公立6万3065人・私立8万2879人)となった。 これらを前年度と比較すると実施校数で52校、実施件数で71件、参加生徒数で7847人といずれも増加。実施率は公立校が0.8ポイント、私立校が2.0ポイント、それぞれ前年度より上がっている。前年度との比較で公私立共に校数、件数、生徒数すべてが上回るのは11年度以来、5年ぶりのことで、全国の高校における海外修学旅行の意欲が高まっていることがわかる。 ちなみに過去の実施率の変化を見てみると、安全を第一とする教育旅行の性質上、事件・事故や疾病の流行といった外的要因に大きく左右される傾向が明らかで、たとえば私立校の実施率が前年度より一気に10ポイント以上落ち込んだ09年は世界的に新型インフルエンザが猛威を振るった年であり、2ポイント以上下がった15年度は前年に韓国でフェリー転覆事故が発生し修学旅行中だった多くの韓国人高校生が犠牲となったことが影響したものと考えられる。 これに対し、16年度は4月に熊本地震はあったものの海外修学旅行への影響ということでは全国的な波及は少なく、世界的に見ると大きな事件・事故や天災がなかったことも、海外修学旅行の増加につながった要因の1つといえそうだ。 海外修学旅行の目的地に関しては、台湾が圧倒的に人気が高く、これに続くシンガポールとオーストラリアが御三家ともいうべきポジションを確保している。 台湾は、2位のシンガポールを都道府県数で4自治体、校数で120校、人数で2万2592人も引き離す断トツぶりで、人気No.1デスティネーションだ。これに続くのがシンガポールとオーストラリアで、3位オーストラリアと4位グアムとの間には校数で20以上、人数で2000人以上の開きがある。また、台湾、シンガポール、オーストラリアの上位3カ国の顔ぶれは14年度、15年度、16年度と変わっていない。 ただし、公私立別でみると状況はやや変わる。公立校でも台湾の1位は変わらないが、人数の2位、校数の3位にグアムが食い込んでいる。一方、私立校では校数、人数ともオーストラリアが、台湾を抑えて1位となっているほか、全体や公立校のランキングではベスト10に入らない英国が校数の9位、人数の10位に食い込んでいるのが特徴だ。 ちなみに海外修学旅行だけでなく海外研修(学校が主催する3カ月未満の語学研修、ホームステイ、教科の特性を生かした実習・研修、姉妹校交流等)を含めた場合は、トップのオーストラリアが602校、3万1894人で2位以下を大きく引き離している。 海外修学旅行を実施した高校の地域別分布では、校数・生徒数とも増加傾向に海外教育旅行トレンド国際理解教育の重要性がクローズアップされるのに伴い、高校による海外教育旅行の実施意欲も高まっている。全国修学旅行研究協会(全修協)の調査報告からはそんな傾向が見て取れる。人気は台湾、シンガポール海外教育旅行ガイド 2019 4