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概要

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 教育効果の高い体験プログラムの提案を求められる旅行会社にとって、魅力的なプログラムの素材探しは極めて重要だが、その発掘は簡単ではない。それを素材となる教育イベントの創設から関わることで乗り越える取り組みを継続しているのがJTB グループだ。 同グループは14年から国際交流イベント「グローバルリンク・シンガポール」を開催。アジア太平洋地域の中高生国際課題研究発表コンテストとして実施されるイベントは、今年は7月に開催され、日本を含む6カ国・地域から61校・313人の中高生が参加した。20年も8月中旬の開催を予定している。シリーズ第2弾としてオーストラリアで「グローバルリンク・クイーンズランド」も企画。地球環境を考える中高生国際ユースサミットと位置づける同イベントを昨年、試験的に実施し、今年7月30日?8月2日には正式開催に至った。日本、中国などから73人が集まり、各国の生徒がSDGs(持続可能な開発目標)で海と陸を中心とした環境学に関する研究成果を英語で発表した。 「分散化して小グループ化する教育旅行プログラムのニーズにいかに応えていくかも、旅行会社としてますます重要になっている」というのは、教育旅行や研修・視察旅行など学びの旅を専門に取り扱うアサヒトラベルインターナショナルだ。かつては修学旅行や研修旅行の目的地や内容は単一だったが、最近では目的地が複数候補の中からの選択制になっていたり、現地体験プログラムは5つも6つもあるコースに分散して実施される場合も多い。 学校や参加生徒に満足してもらえる体験プログラムのバリエーションをそろえるのは、旅行会社の企画力や腕の見せどころだが、準備には手間も時間もかかる。しかし、「目的地が分散した結果、これまで食い込めていなかった学校に提案し、新規獲得につながる新たなチャンスが生まれている」という。 旅行会社に求められる対応が高度化、複雑化するのに伴い、作業の効率化や学校側とのコミュニケーションの齟齬を防止する工夫も求められる。日本旅行の「E2なび(いーなび)」は、そうした狙いもあって6年前に開発されたシステムだ。事前学習から行程管理、レポート作成機能など6機能を備え、学校側の教育旅行担当者の負担軽減にも役立っている。年々、改良を加えているが、旅行へ影響を及ぼす自然災害のリスクが国内・海外とも増大しているため、「今後はさらに安全管理機能の拡充を図り、円滑な催行や安心の確保を強化していきたい」(教育旅行部)としている。教育旅行を手掛ける旅行会社には、これまで以上に大きな役割が期待される。より教育効果の大きい現地体験プログラムの開発・提案、小グループ化、多様化する要望に基づく効率的で確実な旅行手配、高度な安全管理など、要求されるレベルが高まっているからだ。分散化・小規模化に対応JTBが初開催したグローバルリンク・クイーンズランド。同世代との交流も魅力の1つニーズ多様化で対応に創意工夫旅行会社の手配トレンド海外教育旅行ガイド 2020 4