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概要

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 こうした教育効果からすれば、海外教育旅行は今後もっと伸びてもおかしくないはずだ。全国修学旅行研究協会(全修協)が行っている海外修学旅行・海外研修の実施状況調査によれば、中期的に海外修学旅行の実施率はほぼ横ばいで、11年度から17年度までの推移を見ると、公立校は9~10%台、私立校は35 ~ 37%台の幅に収まる。 しかし、15年度以降は公立校が9.6%、10.4%、10.8 % と上昇傾向にあり、私立校も32.9 %、34.9%、37.7%といずれも3年連続の増加となっている。実施校数や参加生徒数も伸びており、公立・私立合わせると15年度の790校・13万8097人が17年度には895校・15万6413人へ増えている。この3年ほどで確実に需要が伸びているのは、実施校における海外修学旅行の教育効果の高さが情報として共有されつつあることも理由にありそうだ。 全員参加が基本の海外修学旅行とは別に、希望制が中心の海外研修も活発に実施されている。ホームステイ・語学研修の実施は1090校・2万5324人で総数に占める割合はそれぞれ46.8%、55.1%と前年同様に最も多い。全修協は、「SSH(スーパーサイエンスハイスクール)やSGH(スーパーグローバルハイスクール)、実習、視察など、専門的な学習内容も高い」と分析している。 行き先に関しては、アジア各国やオーストラリアの人気が高い。一番人気は台湾で、公私立合わせて325校・5万3940人が訪れている。人数は15年度の3万6356人から48%も増えた。公立校だけで見ると実に実施校の約半数が台湾を選んでおり、校数比率で45.5%、人数比率54.0%に達している。 台湾は距離的な近さに加えて、日本との歴史的な関わりの深さや親日的な国柄が適地として選ばれる理由となっているようだ。また2番人気のシンガポールは、複合民族国家の成功事例として、あるいはアジアを代表する先進国となった経済発展に関心がもたれると同時に、英語を学ぶ場としての環境も評価されていると見られる。 人気目的地の上位には台湾、シンガポールのほか、マレーシアも4位に食い込み、アジア優位の印象だが、3位にはオーストラリアが入っている。オーストラリアは私立に関しては人気ナンバーワンで、シンガポール同様に英語の学習環境でアドバンテージがあるほか、日本にないスケールの大自然に恵まれ、環境学習プログラムなども充実している点が好まれるポイントとなっているようだ。 ただし、公立校の動向、目的地選考は各地の教育委員会が設ける修学旅行実施基準の内容が大きく左右する。その意味で今後、大きな影響を与えそうなのが東京都の規制緩和だ。実施時間が96時間から最大120時間に拡大され、1人当たりの上限費用も9万5000円から11万円に増額され、今年4月の契約分から適用される。各地における基準緩和の動きも、海外教育旅行の実施増加を後押しする材料だ。アジアや豪州が人気の価値高まる海外教育旅行の価値旅行会社の手配トレンド体験交流企画のポイント事前・事後学習のすすめアンケート数字で見る海外教育旅行249161720CONTENTSADVERTISERタイ国政府観光庁ロイヤルブルネイ航空ハワイ州観光局ハワイアン航空トラベルジャーナル学園5~810~1112~1314~1518~19週刊トラベルジャーナル臨時増刊号 海外教育旅行ガイド2020発行日:2019年12月9日 発行・制作:株式会社トラベルジャーナル 〒102-0083 東京都千代田区麹町3丁目5-19 にしかわビル4Fデザイン:Concent,Inc.(Ikuko Ebina、Tomoko Watanabe) 表紙:? iStock.com / Rawpixel印刷:欧文印刷株式会社海外教育旅行ガイド 2020 3