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概要

EDguide_191209

 学びは興味や関心、好奇心の裏付けによって、より深く頭に染み込んでいく。教育旅行も同様で、お仕着せの体験で身に付くものは少ない。逆に興味と関心を持つことで自ら主体的に学ぶ姿勢が生まれ、いわゆるアクティブラーニングを実践することになる。 その興味・関心を引き出す有力な方法が事前学習だろう。全国修学旅行研究協会の18年度修学旅行の実施状況調査によると、生徒への指導の機会としてどんな取り組みを行っているかを尋ねたところ(複数回答)、事前指導を行った学校の割合は88.1%と最も多く、事前学習の重要性は広く理解されているようだ。 そうしたニーズの高まりもあって事前学習を充実させる環境は年々整ってきている。この環境をぜひとも最大限活用したい。各国観光局の日本事務所・支社などは次世代の旅行需要につながる若者の教育旅行の誘致に力を入れており、教育旅行セミナーを開催している場合がある。特に教育旅行の目的地として人気国が多くあるアジアの観光局は定期的に開催していることが多い。 たとえば、アセアン諸国の共同組織である日本アセアンセンターも東南アジア教育旅行セミナーを毎年実施しており、教育旅行先としての魅力やアセアン諸国の政府観光局による最新情報のプレゼンテーションを行っている。今年8月に東京で開催したセミナーには、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの政府観光局や航空会社が参加。学校や旅行業界の関係者約70人が集まった。 学校の求めに応じて、職員が出張授業や説明に出向いてくれるケースもある。また、事前学習の素材や提案をしてくれることもあるので、まずは観光局や協力機関に問い合わせてみてほしい。担当教員のセミナー参加が時間的・物理的に難しければ、最近ではE ラーニングやウェブセミナーといった形でオンラインで各種情報提供している観光局もあり、積極的に活用したい。 事後学習では、旅行中の体験をアルバムにまとめたり、旅行前にあらかじめ設定した研究課題や現地での体験を学校行事の場で発表・報告するなど、さまざまな方法が試されている。また産業や歴史、文化で日本とつながりのある国ならば、その後も日本の観光地を訪れたり関係のある人を取材したりするのもいい。 現地体験として、たとえば植樹や野生動物保護のプログラムに参加した場合は、植樹した木々や保護した動物の生育状況や近況に関する報告を受けることで、事後学習の材料にすることもできる。事後の自主的な学習として、学校交流で育んだ友情をもとに、生徒が自主的に個人的な交流を継続することによって、さらなる国際理解や語学習得を図るケースもある。海外修学旅行や研修旅行の実施に際して、教育効果をより大きなものとするため、事前・事後学習はぜひとも行うべきだ。あらかじめ訪れる国を学ぶことで目的が明確になり、事後学習をすることで生徒たちは旅の成果を整理して自分の中に定着させることができる。学習意欲向上をサポート環境を最大活用し事前・事後学習のすすめ16 海外教育旅行ガイド 2020