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概要

40_1964-2003

が開放を決めた76年からわずか2年後の78年には、カーター大統領が「航空企業規制緩和法」に署名し、81年に路線自由化、82年に運賃自由化が実現した。いわゆる米国の航空業界を揺るがした“デレグ"である。規制緩和で運賃まで自由化されたことにより、CRS展開で有利な航空会社は強みを増していった。公器への変貌とGDSの誕生しかし、航空会社がCRS上で自社に有利な情報ばかりを提供すると、旅行者の不利益につながりかねないとの判断により、米運輸省は84年に「CRS規制法」を施行し、「バイアス」と呼ばれる自社に有利な情報提供を禁じた。同法の施行によってCRSは、航空会社が自社の販売を有利に導くためのツールではなく、旅行業の流通を担う公器として位置付けられたわけである。バイアスによって航空会社に利益を還元できなくなったCRSは、新たな収益源を航空会社から徴収するブッキングフィーに求めることとなり、CRSとして独立したビジネスモデルを持つに至る。同時に、航空座席や運賃の予約・検索だけでなく、世界中のホテルやレンタカー、鉄道などの予約機能、旅行業務に対応した経理システムまで備え、単なるコンピューター予約システムを超えて、旅行会社をサポートする総合的なネットワークヘと発展。このため、80年代後半からはCRSに代わり、GDS(Global DistdbuionSystem)と呼ばれるようになる。GDS化するのに伴い、ネットワークの維持や開発に要する膨大な資金を、単独の航空会社で調達するのが困難になり、CRSの統合や複数航空会社の共同CRSが生まれる。同時期に、各CRSは中立・公平性を保つため特定の航空会社の傘下を離れ、名称変更が相次いだ。JL系CRSは、88年にJALCOMから「AXESS」、91年にはJLのアクセスセンター部を分社化し「アクセス国際ネットワーク」社を設立。NHは90年に東南アジアの航空会社6社と共同で「インフィニ」を設立し、国際線のCRS事業をインフィニトラベルインフォメーションに移管した。海外ではエールフランス(AF)、イベリア航空(IB)、ルフトハンザドイツ航空(LH)、スカンジナビア航空(SK)の欧州4キャリアにより、87年に「アマデウス」が設立され、92年から本格稼動。98年にはコンチネンタル航空(CO)系航空VAN「マルチ・ジャバン」が86年に稼動、多くの航空会社が加入したのCRS「システムワン」を統合した。UAや英国航空(BA)などが出資する「アポロ」と、KLMオランダ航空(KL)、スイス航空(SR)などが出資する「ガリレオ」が93年に合併し、「ガリレオ・インターナショナル」を発足している。そして米国ではDLやNWなど、AA、UA、CO以外のメガキャリアが展開してきたCRSは、共同運営の「ワールドスパン」に収敏されていった。日本におけるCRS競争日本に米国のCRSが上陸したのは86年。UAが開発したCRS「アポロ」が米国系CRSの日本上陸第1号だった。当時UAは、シアトル/東京線を運航してはいたものの太平洋線では弱小航空会社だった。ところが、86年にパンナムの太平洋路線を買収し、一躍太平洋線の有力航空会社となり、日本を含むアジア全域への国際線展開に本腰を入れ始めた。これに合わせて「アポロ」の日本・アジア地域への進出もスタートする。日本にはCRSを規制するルールはなかったが、すでに米国ではバイアス(自社便優先策)が禁じられた後で、CRSは独自のビジネスモデルを築きつつあった。このため、「アポロ」の日本進出も「UAの営業戦略を担うというより、『アポロ』にとって日本が有望かつ将来の発展に不可欠な市場だった意味が大きかった」(ガリレオジャパン・青山良信取締役総支配人)という。しかし航空会社の営業戦略を担うにしろ、ブッキング収入を求めるにしろ、いずれにしても端末展開を広げなくては何も始まらない。こうして日系、米国系のCRSを交えた国際的なCRS展開競争が日本でも始まった。あえてCRS展開“競争"としたのは、日本では“戦争"にまでは発展しなかったからだ。CRSが露骨なバイアスをかけられないシステムになったとはいうものの、CRSと各航空会社のリンクレベルや細かい画面表示の部分で違いがあり、実質的にはバイアス的な要素も残った。にもかかわらず航空会社と系列CRSが一体となったCRS戦争に発展しなかったのは、日本の旅行業界の特殊事情が関係していた。日本市場の国際線ではJLが圧倒的なシェアを持ち、JLの発券ができないCRSは旅行会社にとっての価値が半減したからだ。当時のIATA規約では「システムプロバイダーは個々の航空会社と発券契約を結ぶこと」とされ、航空会社が認めない限りその航空会社のチケットはCRSで発券できないことになっており、JLの優勢は歴然だった。米国系CRSもその事情は百も承知で、発券のための環境整備に取り組んだが、「アポロ」がジャパンBSPのシステムプロバイダーとしての承認を得られたのは日本進出から1年半も経過した87年秋。JLやNHの発券が正式に可能になったのは、さらに2年後の89年10月。IATA規約が、「CRSを利用した航空券の発券は、航空会社と旅行代理店との私的契約に基づく純商業活動」と変更され、航空会社と国鉄のオンラインシステム「マルス」誕生日本航空「JALCOM‐ |」を開発全日空がオンライン・リアルタイム・システムによる座席予約装置を運用開始「JALCOM― |」に国際線予約機能追加近畿日本ツーリスト「システム|」稼動日本旅行「QR‐ |」稼動JTBの旅館予約システム「トリップス:」稼動ジャンボジェット時代に対応した「JALCOM‐?」稼動ジャバンBSPが運用開始アメリカン航空が「セーバー」を旅行会社に開放米国でデレギュレーション始まる発券自動化など機能強化した「JALCOM‐|? 」稼動国鉄「マルス」とJTB、日旅、近ツーのコンピューターが結合米国運輸省が「CRS規制法」施行「アポロ」が近畿日本ツーリストとリース契約国際線の航空業界VAN「マルチ。ジャバン」稼動全日空「リザーナ」と「セーバー」が結合「アポロ」がBSP発券開始全日空「リザーナ」が機能強化し「エイブル」に改称日本航空「JALCOM‐ ?|」が「AXESS」に改称近畿日本ツーリストが「アポロ」とシステム結合日本旅行が「セーバー」とシステム結合JT3が「セーバー」とシステム結合「アポロ」がJL、NHの発券開始全日空と東南アジアの6航空会社が共同で「インフィニ」設立「パース・」と「ダータス」力軽ざ併し「ワールドスパン」設立アクセス国際ネットワーク設立「アマデウス」が本格稼動「アポロ・プラス」展開開始「アポロ」と「ガリレオ」が合併し「ガリレオ・インターナショナル」設立「AXESS― LAN」展開開始「インフィニ・リンケージ」展開開始アクセス国際ネットワークがセーバーと提携発表「アマデウス」と「システムワン」力ゞ薫充合「ホテルの窓口」設立ワールドスバンが日本で稼動アマデウスが日本で稼動インフィニの基幹システムを全日空からセーバーヘ移管「イサイズトラベル」が営業開始ダイヤモンド社、伊藤忠商事等による「アルキカタ・ドット・コム」:設E2「旅の窓口」のマイトリップ・ネット社が独立ソニーとH:Sの「スカイゲート」設立JTBとヤフーの「たびゲーター」設立主要航空会社とトラベロシティが「タビニ」を設立_「タビニ」と国内線予約共同サイト「国内線ドットコム」が業務提携「イサイズトラベル」がビジネスモデルの転換に踏み切るH:Sが「スカイゲート」との資本関係を解消楽天がマイトリップ。ネット社を買収楽天トラベルがワールドトラベルシステムに出資し提携観光立国への道 511960年1964年1967年1969年1971年1976年1978年1979年1980年1984年1986年1987年1988年1989年1990年1991年1992年1993年1994年1995年1996年1998年1999年2000年2001年2002年2003年2004年CRS/GDSの変遷略史嘔.ヽ