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概要

40_1964-2003

観光発展へ求められるプロセス松田昌士κ′`′″ヵ′″′ぉ″ノ′1936年生まれ。61年日本国有鉄道入社。北海道総局総合企画部長、経営計画室審議役兼再建実施推進本部事務局次長、再建実施推進本部事務局長を経て、87年東日本旅客鉄道常務取締役総合企画本部長、90年代表取締役副社長、93年代表取締役社長。00年6月から現職。東日本旅客鉄道取締役会長松田昌士氏鉄道は旅客を運ぶとともに文化を伝える役目を果たしてきた。近代における観光の歴史を振り返れば、鉄道が草分け的な役割を担ってきたわけだ。また、常に着地型営業を行い、地方のデスティネーションキャンペーンにも積極的に取り組み、祭りをはじめとする有望な観光素材を発掘してきたのも、われわれ鉄道会社である。新幹線の開業で地方の観光開発が進み、「ディスカバージャパン」キャンペーンが日本の魅力を見直すきっかけにもなった。そうした意味で、鉄道は観光産業のこれまでの発展に少なからず貢献してきたと自信を持って言える。TIJ発足で観光産業に一体感しかし、これまでは観光産業を担う航空会社やホテル、旅館、バス会社などが一体化することはなかった。鉄道会社も含めて、それぞれの努力が分野ごとの取り組みにとどまり、観光産業全体としての取り組みに欠ける面があったことは否めない。その意味で日本ツーリズム産業団体連合会(Tu)が発足し、観光産業全体として動けるようになった意義は大きい。それまでは航空と鉄道、バス、あるいはホテルと旅館などはライバル関係を意識することはあれ、団結して事に当たることはないに等しかった。TIJがその雰囲気を変えた。さらに、観光立国宣言によリインバウンドが注目され、訪日外国人旅行者を倍増させるという共通の目標もできた。歓迎すべき状況である。一方で旅行者を迎え入れる態勢が整っているかといえば、まったくゼロに近いのが現実だ。まずは旅行に関する情報を提供できなければ、旅行者を呼ぶことなどできない。旅に関する広範な情報を集め、インターネットを通じ、日本語や英語で情報を閲覧できる態勢を、JRや航空会社、JTBが共同で構築しているが、まだ北海道、北東北に限られている。同様の態勢を早急に全国化しなければならない。実は、県、市、町のそれぞれにある観光担当課には豊富な情報があるが、必ずしも有効に活用されていない。早く有効活用できる態勢を整えるべきだ。最近では大学の観光学部も増え、観光を学問化する動きがある。しかし急を要するのは、学問よリガイド養成だろう。単なる観光案内をするのでなく、歴史や文化に通じながら、学問というよりは実学としての観光学を修めた人材が必要だ。大学とバスガイド養成所の中間に位置するような観光ガイド養成機関を作らねばならない。先日、ロンドンに行き、観光局で絵画鑑賞したい旨伝えると、たちまち美術専門のガイドを紹介してくれた。こういう態勢が観光立国を目指す日本にもこれからは欠かせないはずだ。魅力ある土産物欲しいインバウンド振興には、最大の観光素材となる首都、東京の魅力を確立することが求められる。そうした観点から、JR東日本では東京駅周辺の整備計画を進めている。首都東京の「顔」にふさわしい都市景観を形成し、風格ある都市空間を創出することにつながるはずだ。具体的には丸の内駅舎を可能な限り保存じつつ、創建当時の3階建ての姿を再現する。駅舎と周辺の整備を含めて事業費は約500億円。10年度末の完成を目指している。観光開発についてもうひとつ提案すれば、魅力的な土産物を開発することが重要だ。消えてなくなってしまう食べ物以外で、旅行先の土地の思い出を込められる土産物ができれば、観光誘致の力になる。町おこしにもつながる。1000円ないしは2000円程度、高くても3000円以内の魅力的な土産物を各地で考案したい。観光はそうした具体的な施策の積み重ねによって、発展していくものではないか。観光立国への道 47Visions for Tourism Industry「7バ■フエ「Dlン