ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

40_1964-2003

相互交流型の巨大市場形成は日前佐々木隆物蒻′%´々′1943年生まれ。67年東京大学理学部卒業後、日本交通公社(現JTB)入社。経営企画室次長などを経て、96年取締役財務部長、00年常務取締役西日本営業本部長、02年6月から現職。42 観光立国への道テーマインタビュー◎ 渡航自由化40年とツーリズム産業の行方JTB代表取締役社長佐々木隆氏会社としてこれまでを振り返った時、90年代初めまでの大成長期は、「今後三度とないのでは」との思いがある一方で、JTBにとっての経営基盤を構築できたという意味で大きな意義があったことは間違いない。たとえば、30年前に販売会社を、20年前には造成会社を設立し、その後もイベントやコンベンション、ビジネストラベルといった具合に機能分化させ、需要を掘り起こしてきた。そして、各社がいずれも厳しい市場競争を繰り広げてきた結果、グループとしての成功を維持する態勢を整えることができたと思つ。最近、海外で“個人''として動く日本人旅行者を見るにつけ、アウトバウンドにおいてわれわれ旅行会社が果たしてきた役割を実感する。旅行業のみならず、そこに関係する多くの業界が日本人の海外旅行マーケット拡大に努力を払い、そして育てたということは胸を張ってよいのではないか。ただし、大成長期が終焉した後のマーケットは、明らかに従来と異なる構造に変質したことも確かだ。たとえば、ただ行くだけの旅行から、明確な目的を持って旅する日本人が増えてきた。そういう意味でバブル崩壊以降は、旅行者自身が考えを深めた時代、ということもできる。旅行だけにこだわらない近い将来、日本人出国者数は必ず2000万人に到達するだろう。だが、その中身は大きく変わっていく。従来の物見遊山的な旅行ではなく、親交を目的として相互に訪問し合う人々の移動が、さまざまな形で顕在化する。あと5年もすれば、観光に限らずビジネスなどを含めての巨大な相互交流マーケットが形成されるのではないか。JTBでは(04年度を初年度とする2カ年の)グループ経営計画で、「“総合旅行産業"から“文化交流産業"への発展」を打ち出した。これまでのように「旅行」だけにこだわっていると、ビジネスの手法を限定してしまうと考えるからだ。人々が交わる時、移動する時には必ずビジネスチャンスが発生する。交流や移動に伴うこうした付加価値をいかに取り込んでいくのかを展望した結果、あえて「旅行」を外す道を選んだ。社員にもそうした意識改革を求めてきたし、マインドのリセットは着実に浸透しつつある。外に向けても、従来のようなややもすれば一方的だった人の流れではなくて、相互交流型の市場形成に向けた取り組みに、JTBとして積極的にかかわっていきたいという意思表示をしたつもりだ。まだ広がるエージェント機能もちろんこれまでも、旅館連盟らとも連携して、国内旅行の分野でイベントを開催するなどして地域振興に貢献してきたつもりだが、ここ最近の行政サイドによる、インバウンドを視野に入れた地域振興への取り組み機運の高まりには、目を見張るものがある。われわれ旅行会社、旅館をはじめとした地元企業、そして行政が一体となって取り組むための環境整備が進みつつある。相互交流の拡大は日本社会の国際化を増進するはずで、これまでのアウトバウンドに加え、今後はインバウンドがその役割を担っていく。そして、われわれもビジネスを通じて、そこに関与していくことができる。会社が一定の規模に達すると、10年、20年にわたって、どのようにビジネスを続けていくかは経営上の大きなテーマとなる。だが、考え方さえ固定しなければ、エージェント機能はまだまだ広がるし、会社として発展していくことは可能だろう。鶉/― J―口旧『1 “.竃麗