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概要

40_1964-2003

CxnurruaEs FoR Tountsrvtfrfiot*ftEy-u*L地域の生活に触れる視点が育ち始めている(財団法人都市農山漁村交流活性化機構)点である。エコツーリズムでは、エコツアーを実施している旅行会社もみられるが、全体としては関心が高いとはいえない状況であり、また、グリーンツーリズムに至っては、旅行会社の姿はほとんどみられない。その理由に、旅行会社が発地型に特化しているため、地域密着型の商品開発が不得手であることは否定できない。しかしながら、不得手だからという理由で、こうした新世代のツーリズムに手をこまぬいている余裕はいまの旅行会社にはない。インターネットの発展によリサプライヤーのダイレクト販売が広がる一方で、パッケージツアーに限界がみえているだけに、着地型ビジネスの可能性は旅行会社には数少ない活路のひとつである。では、旅行会社が着地型に取り組むにはどうしたらよいのか。そのための最初の関間が、地域との関係強化である。グリーンツーリズムの課題新世代のツーリズムのうち、グリーンツーリズムはヨーロッパで発達した観光形態で、国によって多少の違いはあるが、基本的には農山村地域での滞在型バカンスとして定着している。フランスなどのように、国家の政策として農村滞在、農業体験が教育に組み込まれ、政府の補助で維持されているところもある。フランス以外にも、ドイツやイタリアなどヨーロッパ各地で広く行われていることはよく知られている。グリーンツーリズムは、農山村の自然や生活文化を観光資源として都市と農村の交流を図ることにより、観光収入による地域環境の保全、就業機会の創出、農村エリアの復興を狙いとしているが、特に地域活性化への効果が大きいことから、全国の農山村エリアで取り組まれるようになった。九州では大分県安心院の農業宿泊や、熊本県水上村の「水の上の学校」など、全国的に知られているところも多ヽヽ。受け入れる地域にとっても活性化への手がかりに(打田市の稲作体験)(財)九州地域産業活性化センターによると、大分県の日田玖珠地域は年間の観光客数は1000万人近くを数え、観光の地域経済への影響力は極めて大きい。同地域では温泉のある久重町、天瀬町への観光客が最も多いが、これまで観光客の少なかった大山町は、有機農法による農作物の直売所とレストランを併設した「木の花ガルテン」を開設、80年代には2万人台にすぎなかった観光客は、10年で10倍以上に膨れ上がった。木の花ガルテンは01年に農家料理のバイキングレストランを開業したが、折からのスローフードブームを追い風に、驚異的な人気を集めており、長蛇の列が絶えることがない。日田玖珠地域における地域おこしの鍵を握っているのが、グリーンツーリズムであり、この地域では従来の温泉観光が伸び悩みをみせる一方で、本の花ガルテンなど環境志向の強い観光資源に人気が集まっているのが、最近の特徴である。しかし、一見順調そうにみえるグリーンツーリズムだが課題も多い。最大の問題はNPOなどが中心になってグリーンツーリズムを立ち上げても、新聞やマスコミで話題になっている間はいいが、需要が一巡すると極端に観光客が減ってしまうことである。継続して活動できるのは一部にとどまり、途中で撤退するケースも少なくない。着地型ビジネスに絶好の機会このことはエコツーリズムにも当てはまる。受け入れ側が地域に密着した体験型プログラムを準備しても、なかなか効果を発揮するまでには至らない。一時的に観光客を呼ぶことはできても、それを維持できないことが、こうした地域主導型のプログラムの最大の悩みである。鳴り物入りで登場した地域主導の体験プログラムが、長期的には必ずしもうまくいっていない背景は、プログラムをまとめる中心的役割地域主導の体験型プログラムに旅行会社はどう取り組むか(打田市のぶどう体験)を担う機関が存在しないことと、継続的な流通システムを持たないことが挙げられる。グリーンツーリズムでは、熱心なボランティアがプログラムを立ち上げることが多いが、第一世代のボランティアがいなくなると途端に、活動は停滞する。また、継続的な流通システムを持たないため、マスコミなどが採り上げなくなると消費者との接点が見つけられないという弱点もある。つまり、グリーンツーリズムやエコツーリズムといった地域主導型のツーリズムは、ビジネスモデルとしてはまだ十分に成熟していないということが指摘できる。言い換えれば、ここに旅行会社が参画する可能性があるともいえる。これまで発地型ビジネスに特化し、この分野では蚊帳の外に置かれていた旅行会社が、体験プログラムをまとめる中心機能、つまり地域プロデューサーとしての役割を担い、同時に流通システムを提供することによって、着地型ビジネスを確立する絶好の機会が到来したと考えてもよい。しかしながら、着地型ビジネスを実現するためには、NPOや地方公共団体、あるいは第3セクターやボランティアなどと協力し、積極的に地域密着型のプログラムを開発できる態勢を構築するとともに、地域プロデューサーの役割を担える人材を育成する必要がある。旅行会社は販売要員のトレーニングには積極的であったが、地域と協力し、体験型のプログラムを推進できる人材を育てることにはこれまで熱心ではなかった。着地型ビジネスの最大の課題は、着地型商品の開発拠点を確保し、地域リーダーとして活躍する人材を育成することにある。グリーンツーリズムやエコツーリズムヘの関心は、着地型ビジネスが社会の要請である証でもある。消費者が要求する高度なツアーを実現し、社会貢献型の産業構造に切り替えるには、旅行業のビジネスモデルを発地型から着地型に転換することが不可欠である。観光立国への道 33