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概要

40_1964-2003

人気集める体験観光プログラム迫られる着地型ビジネスヘの転換■地方の時代を迎え、ツーリズムが地域活性化の主役として注目を集めている。自然や歴史、さらに暮らしや伝統文化を観光資源として再評価し、体験型プログラムヘの誘致を図る地域主導型ツーリズムの人気は、 _発地型ビジネスを特色としてきた旅行産業が、着地型に体質転換を図る絶好の機会ともいえる。 ワしかし、グリーンツーリズムやエコツーリズムの取り組みにみられるように、この分野での旅行会社の立ち遅れが日立っており、着地型ビジネスヘの移行には、なお多くの課題が残されている。地域産業に携わる“労働"が旅行の目的のひとつに(財団法人都市農山漁村交流活性化機構)大量廉価販売が発地型の特徴んどない。従来の旅行は、名所旧跡や景勝地など有名な観光ポイントを中心にツアーが組まれ、地域の生活文化に触れるという視点はあまりなかった。これに対し、着地型プログラムは、地域と緊密な関係の上に成立するだけに、店舗配置など構造的に地域との連携を取りにくい旅行会社は着地型ビジネスヘの取り組みに消極的にならぎるを得なかった。マスツーリズムに代わる観光旅行マーケットの拡大にマスツーリズムの果たした役割は大きい。しかし、90年代以降、環境問題への関心が高まるなかで、マスツーズムの弊害を指摘する声が次第に大きくなり、それに代わる新しい観光として、グリーンツーリズムやエコッーリズムという新世代のツーリズムに注目が集まるようになった。マスツーリズムヘの批判は、環境への悪影響だけではない。集中送客方式のマスツーリズムでは、ツアー内容は均一化し、ときにはサービスの劣化を招く。開発途上国でしばしば見られるショッピングヘの過度な依存は、大量廉価販売のつけが回ったともいえ、マスツーリズムの問題点が露呈したものである。消費者の旅行会社離れを助長した要因のひとつには、このようなマスツーリズム型ツアーヘの消費者の不満が挙げられる。これに対し、新世代のツーリズムは、名所旧跡や景勝地を周遊するのではなく、地域の自然環境や伝統文化を生かした体験型のプログラムを特色としている。具体的には、地域における自然や生活文化、歴史遺産を観光資源として再評価し、観光客を誘致しようというもので、観光により地域の活性化を図ることを目的にしている点で、これまでのツーリズムとは大きく異なっている。問題は、こうした地域主導型のツーリズムに旅行会社がどのようにかかわっているかという着地型ビジネスとは、旅行会社が出発地にあるというこれまでの常識から離れ、目的地にある旅行会社が、その地域をベースとしたプログラムを開発し、消費者に販売しようという発想である。すでに米国では、エコツアーなどのプログラムを、出発地ではなく、目的地の旅行会社から購入するといった動きが広がっているが、日本でも成熟した旅行需要に対応するには、着地型商品の開発が最も有力だといわれている。旅行会社の間で着地型ビジネスが普及しない理由は、販売優先の店舗配置との関係が大きい。集客を優先すれば、どうしても需要の多い繁華街やターミナルなどに立地する必要があり、その結果、旅行会社の店舗は出発地に置かれることになる。仕入れセンターなどは、サプライヤーに近い場所が選ばれてはいるものの、最終的には出発地の旅行店舗を基準に旅行商品は造成され、そこには地域をベースとした体験型のプログラムが入る余地はほと旅行産業の緊急課題のひとつに着地型ビジネスの取り組みがあることは、しばしば指摘されるところだ。これまで、旅行会社といえば出発地に立地し、顧客を集めて目的地に送るアウトバウンド型、つまり発地型ビジネスが常識であった。着地型(インバウンド)の発想はあっても、集客やコストの面で十分な成果を上げるには至らず、本格的に取り組むにはリスクが大きいとされてきた。しかし、目的地との関係が希薄になりがちな発地型ビジネスでは、ツアー企画がパターン化する傾向が強く、マーケットの成熟に伴い多様化する旅行需要に対応できないという問題に直面するようになった。マスツーリズムの原動力となった大量廉価販売は、発地型の特徴を生かした販売手法であったが、今日では旅行商品と消費者ニーズとの不整合の一因とも日されている。32 観光立国への道ロロロ"″`“口'|晨ゝ登豊蜜マ鶴′