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概要

40_1964-2003

⊂HALLENGES FOR TOURiSM地方の時代とツーリズムジャンボジェットの着陸料は成田の95万円や関空の91万円よりも3割程度は安いレベルになるとみられる。着陸料が明確になれば、中部空港に関心を示す北米系航空会社が正式に就航を表明することも考えられる。愛知万博とのW効果に期待中部空港が開港予定を1カ月繰り上げてまで準備期間を用意した日本国際博覧会(愛知万博)の存在も、中部圏の旅行と航空事情に影響を与える。愛知万博は05年3月に開幕するが、この博覧会需要が国際線誘致の好材料になっている。エールフランスは日本航空との共同運航によるパリ線のデイリー運航を準備しており、愛知万博の開幕に合わせて就航する。ルフトハンザドイツ航空はすでに名古屋空港で運航している週3便のフランクフルト線を週5便に増便し、中部空港開港後は路線と便数を新空港へ移すが、増便の理由のひとつとして「愛知万博を控えて一定の需要が見込めること」を挙げている。また、日独観光交流促進協議会は5月に開催した会議で、愛知万博とワールドカップ・ドイツ大会の旅行需要を、相互協力により拡大することを決めた。中部空港の開港と愛知万博開催は、旅行需要拡大のためのハードとソフトといえる。その両方のインフラが整うチャンスを、旅行会社もビッグチャンスと捉えている。特に愛知を地元とする名鉄観光サービスは、愛知万博への送客目標を80万人とし、主に国内旅行需要拡大の起爆剤としたい考えだ。80万人の内訳は宿泊客が20万人、日帰り客が60万人。日帰り客と航空利用客は重なるとは考えにくいため、名鉄観光サービスの送客目標のうち航空利用客は宿泊客の20万人以下と思われる。また、愛知万博の関連ツアー販売に関して、トヨタ自動車グループのトヨタツーリストと業務提携し、トヨタ自動車販売店協会を対象に自然の叡智をメインテーマに、2005年に開催される愛知万博万博関連のツアーを売り込んでいく。同協会は全国466社が加盟しており、加盟会社の従業員総数は11万人に達する大組織。福利厚生の研修やセールスマンの報奨旅行、取引先の招待旅行、さらには従業員の家族旅行などのニーズを取り込んでいきたい考えだ。最大手のJTBは、修学旅行営業についても愛知万博を最大限に活用する。同社が修学旅行用に用意する体験学習プログラムに愛知万博を組み込み、全国各地からの修学旅行誘致の際にこの体験学習プログラムを目玉にする。国内29都市・1日103便の強み中部空港の開港は、中部圏が日本の航空事情における一地方から主要拠点に変貌することを意味する。その内容はここまでに述べてきた通りだ。それだけでなく、中部空港の開港は、中部圏以外の地方における空港と航空事情に大きな影響を与えるものと思われる。最大の理由は、中部空港が国内の主要国際空港としては初めて、国内線と国際線の乗り継ぎ利便性が高い空港となるからだ。国内の主要国際空港である成田、関空と比較してみると、その差は歴然である。中部空港は名古屋空港の国内線をほぼそのまま引き継ぐことになっている(60席以下のコミューターを除く)。したがって、多くの国内線が羽田を利用している成田や、伊丹空港と国内線を分け合っている関空とは比較にならないほど国内線が多く発着することになる。中部空港に引き継がれることになる名古屋空港の国内線は、北は札幌や稚内、女満別から南は沖縄、石垣まで全国29都市を結び1日103便が運航されている。これに対し、関空の国内線は16都市・42便、成田に至ってはわずか6都市16便にすぎない(7月時点)。中部空港は関空のほぼ2倍、成田の約5倍の国内線就航都市ネットワークを持つことになるわけだ。成田や関空への路線はなく、3空港のなかでは中部空港との間にだけフライトがある空港も、旭川、青森、徳島、長崎など10空港ある。地方から集め地方へ送るこのためアウトバウンドに関しては、中部圏からの直行旅客需要だけでなく、前記10空港を含む日本全国の空港から旅客を集め、海外へ送り出す拠点空港として期待される。一方、インバウンドに関しては、海外から中部空港へ運んだ国際線旅客を、さらに全国各空港へ送り出すいわば心臓の役割を担う。その際に、他空港にない威力を発揮するのが国内線。国際線の接続の多さと円滑さである。したがって国内線・国際線の乗り継ぎのしやすさは、中部空港の生命線ともいえる。このことは空港の設計段階から意識され、国内線と国際線を一体化し、出発フロアは国内・国際とも3階、到着フロアは国内。国際とも2階と分かりやすく作られている。国際線受託手荷物の検査も、チェックインの前に行うインライン方式を採用。同方式を国際線で採用するのは国内初。これで混雑時にも国際線受託手荷物の検査で行列ができるような事態は回避できる。航空便の乗り継ぎの利便性を大きく左右するミニマムコネクティングタイム(Mσ⊃ も、トップレベルの短縮化を目指している。現時点では国際線・国内線の乗り継ぎのMCTを60分以内にするために、関係部署の間で最終調整している。中部空港は、日本のゲートウェイである成田や関空から日本の各地へ、航空便によるスムーズな移動ができないという、インバウンドがこれまで抱えていた問題を解消し、各地方へのインバウンド誘致の大きな武器になる。逆にアウトバウンドに関しても、成田一極集中化のなかで、停滞感すら見られた地方の海外旅行マーケットを燃え上がらせる着火材の役割を果たすことも期待できる。さらに中部空港開港が刺激となって、関空や成田、そして羽田が国内線・国際線の乗り継ぎ利便性向上に努めるようになれば、地方から見たアウトバウンド、インバウンドの様子も一変することになるはずだ。観光立国への道 31艦`貿`」多ロイ■匡=アン_.`け