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概要

40_1964-2003

国の基幹産業としてさらなる発展を社団法人全国旅行業協会(ANTA)会長三階俊博氏日本の観光産業の発展を目指して、観光関係者が一九となった努力の結果ようやく前途に明るさが見えてまいりました。そこには観光産業に関わる多くの人々の熱心な努力と貢献があったことを高く評価したいと思います。同時に国土交通省観光部を中心に、さらに各県市など地方の観光行政に携わる人々の真摯なご尽力にも敬意を表したいと思います。したがって、観光行政が果たして来られた役割も非常に大きいものがありました。感謝したいと思います。「観光基本法」の制定から小泉内閣の「観光立国宣言」に至るまでの40年間は、すべての観光振興のためにご尽力いただいた数多くの方々の各方面のご活躍、ご協力の成果であります。とりわけ近頃は、観光産業に対する内外の期待が大きく膨らんでまいりました。2000年に対論集「観光立国宣言」を私が出版した際には、本のタイトルに「観光立国」という言葉を使うのは大きな決断でしたが、いまや「観光立国」は一人歩きができるようになってまいりました。2000年5月の中国への5200人の交流使節団、2002年9月の日中国交30周年記念行事への1万3000人の訪中団、さらに9.11テロ事件の後、米国のブッシュ大統領の「日本人観光客の減少を食い止めてほしい」との小泉首相や福田官房長官(当時)への申し入れがありました。そこで私たちは国土交通省観光部金澤部長(当時)とJATAの松橋会長(当時)に働きかけてニューヨーク1000人、ハワイヘ3000人の訪問団を派遣しアメリカ大統領の期待に応えることができました。後の日中間、日米間の信頼関係の情勢にも大いに役立っております。さらに、この経験が観光の持つ、外交や文化の面における大きな役割と影響力を政府にも実感させることになりました。ようやく国の基幹産業として期待されるまでに成長しつつある観光産業が、今後さらなる発展を遂げるためには、これまでの40年間を正しく総括することが重要です。過去の歴史に学び、さらに歴史を教訓として、渡航自由化40周年を改めてお祝いしたいと思います。地域活性化が観光産業の未来を築く社団法人日本観光協会会長中村徹氏1963年に制定された「観光基本法」の原案づくりに携わってから40年。政府によって「観光立国」が宣言されるようになった現在の状況を鑑みても、40年前の「観光基本法」の目指すところは間違っていなかったとの思いを強くしています。観光基本法は「国際観光の推進」と「国民観光の普及」を2本柱として構成されたものですが、国民観光の普及については、旅行を楽しむことで実現する豊かな国民生活を目指しただけのものではありませんでした。国民観光の普及には、観光により地域開発を進め、地域格差を是正しようとの狙いも込められていたのです。つまり、当時から観光産業の持つ地域活性化や地域振興の力が期待されていたわけです。全国各地域で活性化策を模索する町は数多くあります。観光産業は、そうした町に暮らす人々が活気と地域への誇りを取り戻し、若者が未来を託すに足る町づくりをしていくうえで、大きな力を発揮できるはずです。そうした力を発揮する方法のひとつとして、私は「フラワーツーリズム」の考えを提唱しています。地域の人々が花を大切にする気持ちを育み、花によって美しい町づくりをする。それが旅行者を迎え入れる気持ちを育て、旅行者にとって魅力的な観光地づくりにつながります。日本の観光振興の原点となった「観光基本法」の制定から40年かけて行き着いた「フラワーツーリズム」が、今後さらに時間をかけようとも花を開き、大きな果実をつけることを願ってやみません。それが40年間の観光産業の歩みを未来につなぐことになると信じるからです。観光産業の歴史のなかで、この40年間が次なる飛躍のための有意義なステップであったと、いずれ振り返ることができる日が来ると信じています。_:菫■ い´ ¬Messages from Tourism Industryメ観光立国への道 23