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概要

40_1964-2003

■ ■■ ■「観光立国」に向けて重責担う旅行産業社団法人日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)会長船山龍二氏この40年間におけるツーリズム産業の著しい発展は、世界的な平和があってこそ可能となったものです。海外渡航自由化以降のほとんどの時期において、ツーリズム産業は概ね世界的な平和に恵まれてきました。9.11以降、テロ・戦争で改めてその前提条件を思い知らされました。いま、世界規模で求められていることは国境を越えた人々の相互理解・信頼感であり、わが産業の使命と役割はむしろ高まってきました。世界平和に貢献するという自覚と自負を持ち、さらなる発展を目指していくことが大切であると考えます。一時の試練を乗り越えて、わが国のツーリズム産業はなお前途洋洋と考えます。第1に国民は観光や旅行をストック消費として楽しむのに十分な経済力を維持しており、第2に旅行需要の成長を支える航空機やホテルなど供給面の進化は続いています。第3に旅行心を刺激するための情報提供は、インターネットを含むさまざまなメディアの活用で一段と強化されようとしています。そして第4として、海外旅行を含む旅行の楽しみが人々のライフスタイルのなかに定着していることが挙げられます。これらの条件からみて、さらなるツーリズム産業の発展と海外旅行2000万人時代の到来は間違いないものと思われます。一方、真の観光立国を実現するためには、日本自体が世界の旅行者にとって魅力のあるデスティネーションとなり、多くの外国人旅行者であふれるようになることが望まれます。現在、ツーリズム産業は政府と協同して外国人旅行者1000万人の実現に向けた「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を推進しております。観光立国を目指すなかで、ツーリズム産業の果たす役割は重要です。とりわけ旅行会社の役割には大きな期待がかかります。ツーリズム産業のこれまでの発展の歴史のなかで、旅行会社は次々と商品を開発し販売努力を重ね、大きな役割を果たしてきました。そして今後の発展においても、旅行会社が同様の存在感を発揮できるようなら、ツーリズム産業の発展もまた確かなものとなるはずです。海外渡航自由化40周年に当たり、その思いを強くしています。蓄積した経験生かし、発展の糧に社団法人日本旅行業協会(JATA)会長新町光示氏旅行業界はいま、これまでの歴史には前例がないほどの注目と期待を集めています。政府が「観光立国宣言」をし、国を挙げて「ビジット・ジャパン・キャンペーン」に取り組むなかで、観光産業は国の基幹産業に位置付けられ、旅行業界は観光産業を支える重要な構成メンバーであると認識されています。われわれはこうした期待に応えるべく、国際交流の促進と観光産業の発展に努めなくてはなりません。特にインバウンドヘの取り組みの強化により、アウトバウンドとインバウンドとの双方向かつバランスの取れた国際交流を実現することが求められています。難しい課題ではありますが、旅行業界は基幹産業の一翼を担う自負と誇りを持って、これらの課題に臨むことができます。しかし、間違えてはいけないのは、観光立国宣言やビジット・ジャパン・キャンペーンが、旅行業界の振興や発展を目的としたものではない点です。いま吹いている観光に対する追い風は、そのまま旅行業界の利益を保証するものではありません。観光需要が増えても旅行会社を経由しない旅行者が増えることも考えられます。インバウンドについても、海外マーケットに通用する旅行商品と販売態勢をつくらなければ、訪日旅行者がいかに増えようとも旅行業界は何も得られない可能性さえあります。観光が促進されマーケットが拡大しても旅行業界はむしろ取り残され、かえってその存在感を薄める結果にもなり兼ねません。そのような事態に至らないためにも、旅行業界は創造力を磨き、販売力を強化する努力が必要です。クリエイティビティーを武器にわれわれは何ができるのか、旅行業界はもう一度真剣に考え直さなければなりません。旅行業界はいま大きなチャンスをつかみかけていると同時に、歴史的な転換期に立たされています。そのことを自覚したうえで、この40年間に積み上げてきたものを、未来の発展への糧としていきたいと考えます。1 __.ヽ雀・…∴畿ワ「22 観光立国への道