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概要

40_1964-2003

スヘシャルインタビヒー石原伸晃観光立国担当大臣聞き手◎紺野美沙子さん(女優)外国人旅行者は読めません。ワールドカップ開催地ではある程度改善されましたが、そのほかの地域でも、最低、英語、中国語、韓国語の3カ国語の表記は増やしていく必要があります。また、空港の入国審査の問題やビザの問題など、これまでなかなか改善がなされてこなかった問題も少なくありません。いま、こうした課題に着々と取り組んでいて、たとえば、入国審査の行列は、入管の柔軟な対応により以前より短くなりました。また、韓国や中国へのビザの発給についても拡大が図られています。さらに、今年4月に民営化した東京メトロでは、パリにならって駅名をナンバリングするようにしました。東京には、外国人旅行者向けの無料観光案内所を100カ所以上設けています。紺野 言葉の問題は大きいですよね。石原 そうですね。たとえば山梨県富士吉田市は中国人旅行者を誘致していて、河口湖には観光客が大勢訪れています。ただ、忍野八海などの観光スポットに日本語以外の表示がありません。富士山のふもとに美しい湧き水があることを多くの外国人旅行者は知らないのです。せめて英語、中国語、韓国語の表示がほしい。政府でも、観光立国の実現に向け、日本の魅力・地域の魅力の確立、日本ブランドの海外への発信、観光立国に向けた観光整備を3本の柱として取り組んでいるところで、来年度の予算要求においても、ビジット・ジャパン・キャンペーンによる海外発信の強化に加え、その受け皿となる観光地づくりへの支援も積極的に行っていこうと考えています。紺野 日本国内を旅行していつも思うのは、町並みがどこも同じように見えることです。もっ20 観光立国への道と地域色が強く出てくれば、さらに魅力的になるのにと残念。まずはいまあるものをしっかりと守って、観光価値を高めていくことも大切なんじゃないでしょうか。こうしたことは民間レベルではなかなか難しいので、行政レベルでぜひがんばってほしいと思っています。身近な町に多くの旅行者が訪れたら自信や誇りを感じませんか?紺野 とても基本的なことですが、国としていまなぜ観光に力を入れているのか、あらためてお間かせいただけますか?石原 世界的にグローバリズムが進展していますよね。そのなかで、国際観光交流を通じて国と国が互いに理解し合うことは、日本の外交政策や安全保障に大きな貢献をすると考えています。観光交流が拡大すれば、海外の国国に日本という国を正しく認識してもらうことができます。観光立国担当大臣の設置は、まさにこうした考えを反映したものです。紺野 国際観光交流ということであれば、日本からはすでに多くの人が外国に行っていますよね。石原 そうですね。いま、日本人の海外における消費額は267億ドルです。一方、外国人が日本で消費する額は35億ドルにとどまっています。つまり、国際旅行収支として考えると、230億ドル(約2.9兆円)もの赤字です。国を石原伸晃乃ι″″″″/∫ヵ′み´″1957年生まれ。81年慶應義塾大学文学部卒業後、日本テレビ入社。政治部記者として大蔵省、外務省、総理官邸などを担当する。日本テレビ退社後、90年衆議院議員に初当選。96年通商産業政務次官(第2次橋本内閣)。98年秋の国会では金融再生法の成立に尽力し、“政策新人類"などと呼ばれる。01年4月、小泉内閣の行政改革担当・規制改革担当大臣として初入閣。03年9月から国土交通大臣(観光立国担当)。挙げて日本の魅力を世界に発信することで、観光地としての日本のイメージが高まれば、おのずと訪日外国人旅行者の数は増えるでしょう。そうすれば、現在のアンバランスな国際旅行収支も是正されていくはずです。紺野 外国の人が来ることによってどれくらいの経済効果が期待できるのですか?石原 生産波及効果が49.4兆円、労働創出効果が398万人と計算されています。日本の経済活性化に非常に大きく貢献することは確かです。紺野 地域再生や町づくりにもつながりますよね。石原 その通りです。自分の身近な町に多くの外国人旅行者が訪れたら、自信や誇りを感じませんか?観光立国の実現は、まさに「住んでよし、訪れてよしの国づくり」なのです。まずは、そこに住む人がその国や地域を愛し、そこを訪れる旅行者に自信をもっておすすめできるようでなければならない。魅力的な土地なら、外国人だけではなく日本人も訪れるはずです。そうすれば地域は活性化し、日本経済の再生にも大きく貢献することになるでしょう。紺野 日本経済における観光産業の位置付けも大きく変わっているということでしょうか。石原 小泉総理の施政方針演説でも、観光は政府の重要な政策課題として位置付けられています。01年には、観光に携わる民間企業が横断的に連携することを目的とした「日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)」が設立されましたが、これは、観光産業が旅行業やホテル・旅館業といった狭い意味での観光業にとどまらず、運輸業や小売業、飲食業などの観凰・ヽ′ t饉ヽ_■fへ専■hЦ鯵