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概要

35_1964-1999

匡L▼ ]L▼■■■■■■■■ A への切対応が生き残りの鍵■“成熟した成人"が主導的役割果たす海外旅行の局面で,1964年の海外旅行自由化以後に起こつた変化をマクロ的に見ると,可処分所得,および余暇時間の拡大に加えて,①旅行手段の変化,②旅行向け通貨価値の変化,③旅行形態の変化,①旅行目的の変化,といつた要素が見出される。これらの社会変化は結果として,日本人旅行者にどう影響したのか。旅行者の内面的変化と旅行目的地変化,この両者の間には何らかの相関関係がありそうだ。いくつかの推論によつて,21世紀の日本人の海外旅行のイメ…ジを探つてみたい。われているものだが,旅行者の持つ心理的動機が旅行先選択に及ぼす影響を巧みに示している。また社会学者のマズローは,人間の欲求を一般的に段階化することで,欲求の発達と労働環境を関連付けて,生産性向上のためのモデルを示したが,このモデルはいまやあらゆる人間生活の局面で利用されており,旅行も例外ではない。ただ,いずれの理論も旅行目的地や旅行者の行動を,旅行者個々の特定の時点からという見方をとっている。だが,実際のところ海外旅行市場というものが,繰り返し海外渡航するというリピーター市場であることを考慮すると,これらの理論だけでは納得できない部分が多い。この場合,リピーターとは,(固人による類似行動の繰り返しを意味するが,海外旅行の場合には,同じ目的地に行くという意味ではなく,むしろ海外に出ることを繰り返す者という意味で捉えられているから,旅行に出る人は同じでも,目的地や国が異なる可能性も含まれている。その結果目的地や国についてのバリエーションは,さらに増幅されていると考えてよい。ともあれ,人の心の動きや成長によって,旅行する目的地も内容も影響を受けることは,いずれの理論からも推測することが可能なのだ。そこからトップ10を眺めてみるとリピーターヘの言及はさておくとしても,個人の海外旅行への習熟度や人間のライフサイクル,あるいは知的レベルの発達などが,旅行内容や目的地選択に影響を及ぼしている可能性は高いのではないかと思われる。その立証にはさらに詳しい検証が必要になるが,それはまた別の機会とし,ここではあえて暫定的にこの推論に基づいて,個人の「旅行目的地」を個人の「成長段階」という物差しから眺めてみたい。子供の成長レベルで旅先は選ばれるその関係を表したのが表2だ。これでわかるように,ライフサイクルが後半になればなるほど,人は自己実現としての旅行とそれに見合った内容を求めるようになる。これは人間の成長の結果,当然の帰結でもある。こうなると目的地・国といったレベルでの変動はないものの,その訪問動機や行ムから表1は,海外旅行自由化以後の海外旅行目的地の年間トップ10を隔年でまとめたものだ。ここから例えば次のようなことが言えるのではなかろうか。つまり,60年代を例にあげるとこの時期は,いわば海外旅行大衆化の黎明期で,人々は旅行商品を提供する旅行会社,あるいは航空会社の意のままに,その旅行目的地を決定せぎるを得なかった。だが当時の様々な制限の中では,むしろ選択の余地が限られていたのは当然でもある。そして海外旅行者総数は少ないものの,旅行目的地はその限られた選択の幅のなかで拡散した。旅行目的地についても興味深い現象が見られる。いずれの年代においても旅行者総数は増加していくが,旅行者が訪れたトップ10の訪間国への旅行者数は,その年の海外旅行者数全体の8割近くを占めるという事実は重要な点だろう。つまり日本人の海外旅行者の約8割は,常にその年のトップ10のデスティネーションヘ旅行しているというわけだ。旅行業者も航空会社も,この約8割の旅行者を確保するために営業活動を行ってきたと考えてよい。同時にトップ10以外のデスティネーションでは,残りの2割をニッチ1964アメリカ香港市場として奪い合ってきたといえる状況だ。だが,この海外旅行者の約8割を挟む,7割台を記録した年と9割台を記録した年の場合とでは,人々のものの考え方も含めた内面的な部分で,その意味はかなり異なっているように思えるc私見を簡単に述べておくと,まずトップ10デスティネーションの占有率が7割台となった年は,デスティネーションの分散化が目立つ年である。これが8割台の年には,それが収敏する傾向のあった年となる。90年代に入って8割台が続いたのは,社会の多くの面でみられた,いわゆる勝者一人勝ちの傾向と一致していることを意味するのである。人の内面性と旅行先の関係さて,60年代と70年代,80年代,90年代,それぞれのトップ10を見てみるだけでも,日本人旅行者の性向をうかがい知ることができるのではないか。いうまでもなく旅行先の選択や訪問理由,あるいはそれらの背景を探る意味で,経済学的な立場はもとより,心理学的な立場や社会学的な立場からこれまでも様々な論議が行われている。一例をあげると図1はスタンレー・プロッグが行った旅行者心理と旅行目的先をグラフに示したもので,プロッグモデルと言表1海外旅行自由化以後の海外旅行目的地の年間トップ10`2上位10目的地の渡航者数総渡航者数占有率ギドイレラ中イ西タマフフ国☆ィリピン119661アメリカ香港中華民国韓国|ヽハ童|´人=|ドイツ|フランス|フィリピン1 1644881 2143751 767%1968アメリカ中華民国香港韓国タイフィリピンイギリスソ連フランスデンマーク.266105343067775%1970アメリカ中華民国香港韓国イギリスタイフランスソ連イタリアフィリピン477266608379784%1972アメリカ香港台湾韓国イギリスフランスタイ西ドイツシンガポールインドネシア123439413920458869′ 61974アメリカ台湾香港韓国フィリピンイギリスフフンスタイシンガポール西ドイツ. 21195272335530910%11976アメリカ台湾韓国香港フランスフィリピンイギリスタイシンガポールインドネシア25731902852584902%f978アメリカ台湾韓国香港フィリピンフフンスイギリスタイシンガポールインドネンア31432753525110.89.1%スツリイスイギタイ~ンアンスソ連7254499797726%市場の8割占めるトップ10旅行先