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概要

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遅目Rが年間500万人に対し,米国人の訪日人数は66万人と1対7の大変大きなアンバランスがあるのが実情です。今後はインバウンドの促進が不可欠で,「ツーウェイツーリズム」(2 way tourism)が国策として必要だと思います。今後の課題ですね。例えば,修学旅行にしても,アジア各国からたくさん来てもらいたいですね。森本先生が言われたように,修学旅行は日本の発明によるもので,1886年(明治19年)の修学旅行制度開始がその発端,歴史あるこのシステムを世界的に広げることで国際交流が進展します。関連機関がシステマチックに連携する時代田平 国際交流が活発となり国際社会が平和であり続ければ,国と国との移動にビザが不要となるなど,21世紀には地球規模での大旅行時代が到来すると確信しております。その環境の中で,近ツーは,海外旅行ビジネスのコンセプトを高齢化社会に絞っていく方針だ。2010年には60歳以上が日本人の25%を占めるだろう。彼らは,孤独の解消,健康作り,社会参加が関心事であり,これに合った旅を作っていこうと考えている。要するに仲間作りですね。クラブツーリズムでは,中国5000年クラブや仏教遺跡巡り,世界遺産の旅,絵画や写真,コーラスといったクラブを作っている。コーラスクラブなどは富士の裾野で集うのに,1日に3万5000~ 4万人が集まるほどの結束力がある。2つ目は,企業の社会的貢献が求められている。当社では,国際貢献,国際交流,環境保全にテーマを絞リエコツーリズム,グリーンツーリズム,バリアフリーなど,身体が不自由な人でも旅ができるように,テーマを絞ったツアーを作りたいですね。また,国際貢献のために,発展途上国の政府観光機関を当社事務所に誘致し,その国の事務所を設ける。すでに4カ国誘致しており,日本ヘの留学生を卒業後職員として迎えているケースもあります。このようにして国際交流提案型の旅行会社を目指すことも重視しています。森谷 社会環境整備,高齢化社会への対応,インバウンド市場の活性化など,国策レベルの課題への対応が急務というわけですが,森本先生はいかがですか。森本 旅行会社の内情を知らずに,あえて言わせてもらえば,旅行会社は,“旅のコースの開発"に投資する努力が今一つ足りないのではないでしょうか。どの産業でも大切なのは開発部門です。コンピューターソフトでもなんでも「開発力」が市場を制する。旅行会社にしても,会社経営のかなりの部分を割いて開発費を捻出し,もっと積極的に様々な旅を開発することが生き残る道であり,重要なポイントではないかと思うのですが。地球上にはまだまだ興味深い所がたくさんあります。旅行会社の場合,開発費は他産業に比べれば低コストで済みます。社員を現地へ送り,「現地でどんなツアーを作れるか研究してこい」と指示することは,それほど困難なことではないように,私には思えるんですよ。もちろん,それは海外だけでなく国内旅行でも同じです。船山 開発に力は入れているのですが,多品種少量生産の態勢にならぎるを得ず,どうしてもある程度のボリュームを狙った格安商品が目立ってしまうのが実情です。「安いのが正義だ」的なことさえ言われます。地球は無限大。消費者に,多くの面白い情報をきちんと伝えていかなければならないと思います。その伝え方が問題で,その意味では業界誌等の役割や機能もさらに重要ですね。これからは航空会社や宿泊機関,媒体,旅行会社,現地オペレーターなどが限りなくプロフェッショナルになり,システマチックに連携していく必要があります。旅行会社側が現地を見て回るには限界があるので,当該地域の関係者から新しくユニークな情報を伝えていただきたい。それを我々が商品化していくということですね。「人間のインタ…ネット化」でより頻繁になる人間交流森谷 先行投資の重要性。多くの経営者にとっては耳の痛い話だとは思いますが,努力していかねばならないことでもありますね。では,最後になりますが,21世紀における皆さんの夢を聞かせてください。兼子 繰り返しになりますが,人と文化を運び,その交流の中で世界の平和と繁栄を築いていきたいですね。日本航空は細々とではありますが,(財)日航財団が実施するスカラシッププログラムを支援し,アジアオセアニアの大学生に日本への理解や相互理解を深めていただくお手伝いをしており,今年で26回目で総人数も1000人を超えています。また私もインバウンド強化が必要だと思う。官民協力して日本に誘致すると同時に,外国人を受け入れるハードソフト,ヒューマンのインフラ整備が重要だ。旅がイン,アウトともに発展するよう努力していきたい。船山 夢というよりも直近のことで言えば,グローバルスタンダードということで,来年から,各企業は連結決算制度を取ることになります。現在ITBグループは170社あるが,各社が専門特化し,それぞれが有機的につながり,海外のグループ会社も含めて名実ともに強くなれるような組織的な形をどう作り上げるか,現実問題として,このあたりをクリアにすればンが実現するだろうと思います。田平 21世紀の旅行業は,“ 余暇マーケット創造産業"。旅行だけでなく,関連する音楽やスポーツ,心のケアや介護などを合め,余暇といった大きな範疇に焦点を絞った産業であるべきです。旅行だけではこれから厳しい時代が来るだろう。旅行25兆円のマーケットなら,余暇なら50兆円になる。森本 日本から発信するメッセージや情報が少なすぎますね。これが一番の欠点です。日本人はどうも宣伝下手。海外でテレビを見ても,「日本へいらっしゃい」というコマーシャルを見たことがない。画面の後ろに日本の風景が映る程度。でしゃばらないことが美徳と考えていても,それは世界に通用しない。また,インターネット時代に見合うように,これからは人間交流ももっと頻繁に盛んになると思います。「人間のインターネット化」とも言うべきものですよ。情報にしても,海外の情報がインターネットを通して直ちに自分のデスクで入手でき,旅行の予約もできる。これをさらに効率良くスピーディーにできるようにすることが,21世紀に向けて世界を安定させるために一番大事な基礎作業ではないでしょうか。そのためには航空会社と旅行会社が一番大きな影響力を持っている。それだけの使命感を持って大いに頑張っていただきたいですね。森谷 本日はありがとうございました。24`|‐ .旅行産業の発展に流通の果たした役割は大きい。鷹厨ぽFヽは閥‐ヽ