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概要

35_1964-1999

感ですね。元日本航空の深田祐介氏が言うように,戦前にジャルパックがあったならばヽ戦争は起こらなかっただろう,と思います。東西ドイツにしても,東ドイツ共産党が「旅行に限りどうぞ」と言ったところ,どっと人々が流れベルリンの壁が崩壊した。正に「旅行」は平和産業であり,戦争を抑止する力さえ持っているのです。森本 持論ですが,私は海外旅行は“平和の十字軍"と考えています。その意味でも海外旅行産業は,今後ますます重要な役割を担うことになるでしょう。例えば北朝鮮問題にしても,観光の部分でまず平和的に解決しようという動きがあり,イランも一時鎖国状態でしたが,観光客誘致を行い,国際的孤立から脱却しつつあります。最近ではリビヤでもそういった動きが見られるようです。逆に言うなら,観光というものの平和的な効果があったからこそ,諸外国は観光の重要性を認め,観光を外交の武器にしている。つまり,外交交渉は政府間レベルですが,その基礎になるのは民間の国際交流,端的に言えば“観光旅行"です。もちろん観光は,愉しみが目的だけれど,その副産物として,知らず知らずのうちに世界平和,国際理解を促進するという重要な役割をも果たしている。これはぜひ知っておきたい点です。パツケ…ジ旅行の価値は「人間関係」,仲間同士の旅はもつと増える船山 その通りです,ただその平和産業の一翼を担うだけの業として認知されるには,企業として,産業としての存在基盤を確立せねばなりません。社会的地位向上のためには,会社が利益を上げ,社員も相応の給料を得られねばならないのです。35年間はその歴史と言えるでしょう。もともとマイナーな業種だった旅行業が,皆が理想に燃えて少しでも業界を良くしていこうと努めた結果,世間並みになってきたわけです。社会にとって旅行産業は必要産業です。日本は世界の動きと無関係ではなく,政治経済,行政,宗教団体,組織団体などあらゆる団体が海外を視察し勉強しました。その際,我々が海外の情報を提供し,旅行を斡旋したことで,社会的に旅行業という機能・役割が必要なのだと認められてきたのです。田平 その通りですね。海外渡航の自由化当初は,観光旅行より業務渡航の意味合いが大きかったと感じております。中央官庁・地方自治体の方々や,日本の代表的産業の関係の方々が先進国へ視察で渡航する場合,旅行会社では視察先の情報を徹底的に調べ上げ,現地資料を収集するなどのお手伝いをしてきました。今の日本経済の発展に陰ながら貢献してきたのだと自負しております。青少年の分野では,85年あたりから中学,高校,短大,大学生の修学旅行が活発化し,今では300校13万人が修学旅行で海外に出ている。ホームステイなどでは受け入れ家庭を探したり,姉妹校などを徹底的に調査したり,海外修学旅行を可能とする素地を作ったことは評価に値する。森本 修学旅行というのは,じつは日本が発明したもので,教育の上でも絶対必要な体験です。子供の時に外国を見ることで,そのイメージが大人になっても残り,また行きたいということになる。自然に国際理解が深まります。森谷 修学旅行などを通じて,多くの青少年が海外の実情を学ぶことは非常に意義深いことですね。森本 私が考える意義は他にもあります。団体で行動するパッケージ旅行というもの■|■■■■■■■□日「1 1田日翻■■「22P R O F I L Eたびら えいじ1933年生まれ。57年に日本大学法学部政治経済学科卒業後、近畿日本ツーリストに入社。北関東営業部長,九州営業本部長.中部営業本部長などを経て,90年に取締役中部営業本部長に就任。93年から常務取締役東京営業本部長,95年にツーリストサービス代表取締役社長。97年から現職.余暇マーケット創造産業〃として、より広範囲な市場をベースとする産業を目指すべきだ。の旅行業は