ブックタイトル30_1964-1994

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概要

30_1964-1994

【旅は世につれ,世は旅につれ】▼式場から着物姿で羽田へ,新婚さんの見送りも華やかだった嵩撤昏の現代とは世相の違いが歴然としている。当時は,羽田空港の屋外デッキに,式場から見送りに駆け付けた裾模様や紋服姿の両親,親族が新郎新婦を万歳三唱で送り出す光景が見られた。欧米の次に顔を出すのがカナダとサイパン。ミクロネシアのサイパンは,グアムの延長線上で浮かび上がってきたデスティネーションだがヽ新規航空路線の開発とともに脚光を浴びた。一方のカナダは,アメリカ旅行とのコンビネーションで販売された目的地であったが,緑濃い恵まれた大自然,治安の良さが日本人の嗜好に合い,ハネムーナーにも安堵感を与えた結果,徐々に増加傾向を辿る。豪華ビギナー型と自由型ヘ通常,新婚旅行の適地は気11発温暖なマリンリゾートが理想的であり,そのためグアム,ハワイに集中したが,前述の欧州周遊型,アメリカ西海岸のように,シティ型新婚コースが出始めたのも,この時代の新しい特徴と言える。1970年代の後半になると,海外ハネムーナーの増勢傾向が強まり,全新婚旅行者の中で占める比率は77年で27.6%に上る。3組に1組は海外新婚という状況となる。しかしながら,一方では婚姻数の減少により横這いの状態が予想された。そこへ新たにアピールしてきたのがオセアニアである。ちなみに,成田の新東京国際空港が開港した1978年の方面別海外新婚旅行目的地は,ハワイ(30.9%),グアム・サイパン(14.6%),欧州(14.4%)に続いてオーストラリア,ニュージーランドが4位にランクされてきた。このほか,1し)に東南アジア,南太平洋などの各目的地への分散によってグアム,ハワイの占めるシェアは徐々に減少傾向を見せてくる。アジアでは,新興シンガポールからマレーシアのビーチリゾート,フィリピンの離島リゾートのセブ,インドネシアのバリ島,タイのパタヤ,さらに南大平洋ではニューカレドニア,フィジー,タヒチヘの足も延び始め, リゾートを対象とした滞在型への傾向が見え始めた。このような, 日本人旅行者の都市周遊型から滞在型への転換は,新婚旅行に限った傾向ではないが,特に初の共同生活を営むハネムーナーにとってリゾート滞在は,理想的な目的地の選択となる。1980年代に向けて,新婚旅行の目的地にも新たな顔ぶれが職:々と登場する変革の波がけ甲し寄せていた。▲旅行目的地も多様化してきた海外ハネムーン,熱心に相談するカップルが多くなってきた1980年代から90年代の新婚旅行について,最も大きな変化は,海外組が国内組よりも圧倒的に増えた点である。ちなみに,三和銀行の1993年調査では,海外85.5%に対し国内11.7%であり,同年のJTB調査では海外95.7%で国内4.3%と推定している。平均旅行費用は80万4000円(2人分)で前年比3万円安。平均日数は8.1日となっている。現在の商品価格から見て, 1人40万円の予算であれ|よほとんどのデスティネーションがカバーされる。このため,近距離の旅行であれ|よかなリデラックスなアレンジもできることになる。一方,こうした需要層に対して,新たなタイプのハネムーナーも生まれつつある。通常,結婚シーズンのピークは春と秋だ。しかし,最近では挙行即新婚旅行の図式に変化の兆しが見えている。ハネムーンを旅行経費の安いオフシーズンに行う賢いカップルも増えてきたからだ。新婚旅行の通年分散傾向である。1970年代から80年代前半にかけての新婚旅行者層は,確実な旅行手配による品質の保証された高級旅行商品を要求した。したがって,値段についても上辟交的にゆとりがあった。だが,現在では海外旅行自由化の初期とは違い,茉励昏旅行者自身が海外旅行のリピーターであるケースが増えている。このため,全行程が完全にセットされたハネムーン・パッケージを選ぶ客層ばかりではなく,エア&ホテルを利用し,現地発着ツアーで2都市周遊を行うといったFIT志向のハネムーナーが多くなった。その意味では,1990年代の来斤婚旅行は,ネL装からの出発とは様変わりし,カジュアルな普段着で出掛ける「共遊び旅行」の意識が強まっている。このような時代の変化に伴い,ハネムーナーのライフスタイルも変わってくる。今後に迎える21世紀の新婚旅行形態は,初体験の豪華型ビギナー新婚旅行,海外旅行のリピーターによる自由型ハネムーン,そして,結婚リピーターである「再婚型」を含む混在市場となることが予測される。773組に1組が海外へ||