ブックタイトル30_1964-1994

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概要

30_1964-1994

【旅は世につれ,世は旅につれ】1980年代の第2次オイルショックを経て,航空企業間の競争激化の時代となっていった。それまでのファースト・クラスとエコノミー・クラスの2クラスサービスに新たに中間クラス(ビジネス・クラス)が導入されたのもこの時期。こういった競争の激化を背景に,米国航空会社を中心に,いわゆる“NON‐ IATA''運賃の導入をめぐる問題なども発生した。運賃に関する大きな問題と言えはやはり方向別運賃格差の問題と,新通貨制度導入である。急激に進む円高局面のなかで, 日本発運賃と海外発運賃を日本円に換算した額の間に大きな格差が発生し,顧客に不公平感が増大していったためだ。さらにこの問題を大きくしたのが,73年に設定されたIATAレート(USS l=296円)。日本発の運賃が高いのは,運賃額がこのレートで換算されているからだとの誤解ではあったが,その後数年かけて日本発運賃を値下げし,格差是正も図られてきており,1989年には,IATAレートと通貨調整率を廃止した新通貨制度を採用し現在に至っている。割引運賃制度については, この時期にファミリー運賃,回数券運賃,PEX運賃といった現在ある運賃がほぼ出揃っている。198騨手に新通貨制度が導入時代やニーズを反映して運賃体系も大きな転換期1992年10月に導入されたゾーン運賃制度が94年4月から新しいゾーン制度および幅運賃制度へ拡大発展し,新たな時代を迎えつつある。この制度は従来のIATA運賃を中心とする一物一価の考え方から,航空会社間で適用する運賃が異なる,弾力的な運賃設定を可能とする制度で,運賃体系における大きな転換期であると言える。その背景にはGIT運賃制度の変遷がある。大量輸送時代と海外旅行ブームが進むにつれてパッケージツアーなどの低価格競争が激化し,MTP(最低販売価格)やMWP(最低卸売価格)などが設けられ,またGV2運賃が導入されて2名催行が可能となったが,それはツアーキャンセルが減少した反面,GIT運賃の形骸化にもなった。GITの個人バラ売リカサ各,如抗空券となってマーケットに大量に出回り,一方で認可運賃とは別に航空会社と旅行会社との需給関係で決められる実勢価格がその主流となった。こうした状況が二一般化してしまった中で,92年には公正取引委員会からこれまで独禁法の適用除外であった国際航空運賃制度の見直しを図る勧告が出され,弾力的な運賃設定が強く望まれるようになった。長期化する航空会社の不況と激しい運賃競争,格安航空券が氾濫する中で適正な国際航空運賃制度とは何かが大きな問題となっている。1965年に導入された団体包括旅行運賃(GIつは,30年を経て個人型包括旅行運賃(IIT)となり,新PEX運賃となっている。今後,この運賃体系がどうなっていくのかを予見するのは大変難しいが,過去30年間を振り返って見れば,運賃がその時代その時代の社会環境の変化やお客様のニーズの変化に対応して,大きく変わってきたと言ってよい。とすれば,今後の運賃体系の変貌もそういった時代の要請にマッチしたものであり,そうでなければならないと思われる。69国際運賃関連の年表年月1954 ツーリストクラス運賃の導入1960 12ツーリストクラスをエコノミークラスヘ1964 海外観光渡航自由化1965 ジャルパック発売開始1965 欧州行きGV10導入1968 米国行きGVi5導入1969 11 欧州行きバルク運賃導入1970 米国行きパルク運賃導入1972 パリ線B-747就航197319731978 太平洋線スカイスリーパー導入1979 米国行きAPEX運賃導入1980 3クラス制導入1981 10 米国行き配偶者割引導入1983 韓国行き修学旅行運賃導入1986 欧州行き直行便開設1988 JCAB方向別格差是正発表1989 新通貨制度適用開始12 燃油費値上げ(日発5%)1991 10 新エコノミークラス運賃導入1992 101994新運賃制度実施(ゾーン・幅制度,?T/PEX)項 目円変動相場制移行IATAレート308円から296円1990ゾーン運賃制度実施