ブックタイトル30_1964-1994

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30_1964-1994

【旅は世につれ,世は旅につれ】|台湾,韓国の海外旅行自由化で市場にも変化ます固くなってくる。外国人向け周遊券とも呼ぶべき国鉄のジャパンレールパスが日本航空の海外支店で発売されたのが81年5月。82年の4月にはJTBが,「民宿グループ。パック」や「サンライズ・スーパー・セイバー・ホテル・クーポン」の販売を開始している。鷹場にチップを切り,ハイヤーを乗り回す,かつての裕福な外国人観光客は姿を消し, リュックを背負い,割引き料金で列車旅行をする旅行者の数が増えてきた。低廉な旅館を外国人旅客に利用してもらおうと82年に発足したジャパニーズ。イン・グループが大きく拡大したのもこの時代であった。三重苦のもう一つ「言葉が通じない」については,JNTOと地方自治体の協力により,さまざまな施設がスタートした。日本を外国人旅行者が一人歩きできるデスティネーションにしようというスローガンの下に,観光地における英文標識の整備,善意通訳運動の普及が奨励され,外国人旅行者のための無料電話相談サービスが85年の4月に開始された。この時代の明るい出来事の一つは86年4月の東京ディズニーランドのオープンである。特に台湾と韓国を中心とするアジア人訪日客にとって,東京ディズニーランドは日本の新しい観光魅力となった。ちなみに1987年の訪日外国人数は211万人。台湾と韓国からの旅客数が合計で27%と米国の24%を_L回っている。関西国際空港開港による市場の活性化に期待論石油危機で始まったこの時代の重要な出来事は,1978年の新東京国際空港(成田)の開港と,台湾,韓国における海外旅行の自由化だろう。特に,79年の台湾における海外旅行の自由化とそれに続く韓国の自由化は,わが国のその後のインバウンドの様相を一変させることとなった。それまでインバウンドの二重苦と呼ばれていたのが「遠い」「高い」「言葉が通じない」である。「遠い」は,近隣に訪日客送り出し市場が存在しなかったことを意味していた。逆に言え|ム訪日客は常に遠い米国や区炒|ヽ|からやってきた。彼等にとっては一生に一度の日本への旅行である。東京, 日光,箱根,京都というゴールデン・ルートを訪れ日本の伝統的魅力を楽しんでいた。ところが台湾と韓国からの人々は,福岡や大阪から入国し,九州や温泉や秋吉台の奇景,江ノ島のイルカ。ショーを楽しみ,東京では秋葉原の電気街での買い物を楽しんだのである。ちなみに訪日外国人数は79年で111万人であるが,米国人のシェアが3割を切り,台湾と韓国からの旅客数が米国人とほぼ同数に迫っている。二重苦の一つ「高い」が現在,さらに厳しさを増してきた時代である。円高と物価高の定着とともに訪日客の財布の紐がます▲バスツアーで観光地を巡る外国人旅行客円高は1ドル100円時代に向けて止まる所を知らぬ勢いである。JNTOは1991年外国人旅行者に低廉宿泊施設の無料紹介サービス(ウエルカム・イン予約センター)を開始したが, 日本旅行の経費はますます高くなり,シリーズ物のパック・ツアーは壊滅状態にある。旅行業の外人旅行部門は縮小に縮小を重ね,担当者数名という大手エージェントまで出てきた。その一方で,これまで関係の薄かった分野でインバウンドに関与する人々が増えている。地方の国際イL草の根交流の観点から,観光による国際交流が見直され始めているのだ。特定の関心と目的を持って日本を訪れる外国人客が増えている。最大公約数的な観光魅力を提供するレディメードのツアーで彼等を満足させることは困難な時代なのだ。可能な限り多様なオプションを提供できるシステムの開発,スペシャル・インタレスト市場の発掘,地方自治体・交流団体との連携等,さまざまな試行錯誤が必要なのだろう。わが国の代表的観光地とともに,国際的にまだ発掘されていない数多くの観光魅力を有する関西に,今秋,関西国際空港が開港する。インバウンドに新しい可能性を提供してくれるに違いない。コンベンションフォーラムというビッグイベントもある。1994年が新たなインバウンド復活のスタート年になることが期待されている。▲外国旅行客に人気がある京都。JNTOのツーリストインフォメーションセンター(京都)にはひっきりなしに旅行客が訪れる6r_ _ . :´´メ,= ~´~ヽ●「1ヾ願贋酵|“ギ:・ザ. `ヽk.硝F.ヽ封構●・イJ一ST も.=ごみ′響″畿ダ‐||||lilllllllllllllli:111111111111111・|::||||||:,‐::.1111111ヽ‐ヽ|