ブックタイトル30_1964-1994

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概要

30_1964-1994

▲1966年に横浜港に入港した「キャンベラ号」。ミス横浜や横浜市消防局音楽隊の出迎えを受けた年)。米国リンドブラッド・トラベル社が` ル(OTA)が日本でホールセールしたこ同船を使って開発した「南極旅行」や「北 ともあって,「憧れのクルーズ」を現実の極旅行」は,従来にはなかったクルーズ ものとしてくれた。の楽しみを日本に紹介してくれた。横浜 こうした背景から,1978年には有カホヘは「北極旅行」の後に寄港したもので, ―ルセーラーがこぞって船旅のパッケー飛行機では行くことのできない秘境を観 ジ化に踏み切った。当時,クルーズ・マ光船で探検するという新しい試みは新鮮 ―ケットは100万人規模と目され,時機がに映り,その後のクルーズ商品の在り方 熟したとの判断が業界内部にあった。とに大きな影響を与えることになる。 ころが,実際の船旅経験者はその1割程1977年にはリンドブラッド社長自ら中 度。とても欧米で見られるような安定し国を訪問し,当時,外国人一般観光客の た市場は,まだ育っていなかった。いわ受け入れに厳しい態度を取り続けていた ば, 日本はまだ投資段階にあったのであ中国政府要人と直談判,ついには中国訪 る。問クルーズが承認された。同社は翌年か 忘れてならないのは,当時, リンドプら「リンドブラッド・エクスプローラー ラッド・トラベル社と提携していたヴィ号」を使い,上海を起点にした揚子江ク ーヴルの和田良一社長の存在である。クルーズを開始,鎖国状態であった中国旅 ルーズ商品の企画。開発を早くから手掛行が楽しめることもあって,横浜から上 けていたヴァリューツアーのヴィーヴル海に向けたクルーズには多くの日本人客 にあって,和田社長はクルーズ市場の開が参加した。中国旅行のはじりでもある。 拓に情熱を燃やしていた。リンドブラッ中国政府はその時,シンガポールのク ド社長との交友はよく知られているとこルーズ。イースト社が開発した「ラサ・ ろだが,クルーズの楽しみは実際に乗船サヤン号」による中国訪間クルーズも同 してみないと分からないと, 自ら多くの時に承認,毎日サービルが日本発商品と クルーズ船を体験している。その和田社して販売。中国旅行は, こうしてクルー 長が1983年4月1日,それまで蓄積したズ商品からスタートした。以降,「ラサ・ ノウハウを基に満を持して設立したのがサヤン号」による東南アジアを周遊する ``船旅の総合専門店"「クルーズ・インタクルーズも次第に人気を博する。とりわ ―ナショナル」。アメリカを中心にヨーロけ,同船によるシンガポールを起点にし ッパ,中国,アセアン諸国に定期航路をたクアラルンプール,ペナン,バリ,ス 持つ船会社6社(販売客船14隻)と販売ラバヤ,ジャカルタと巡る「ラサ・サヤ 代理店契約を結び,本格的なクルーズ需ン・クルーズ」はオーバーシーズトラベ 要の開拓に乗り出した。特筆すべきは,クルーズ▲ リンドプラッド社長(左)と和田社長すでにクルーズ需要を,①豪華なリゾートタイプの船旅,②気軽なリゾートタイプの船旅,③グレートリバー(河川)クルーズ,④ ワールドワイドな探検の船旅,と4つのカテゴリーに分け,目的に応じたクルーザーの選別を明確にしていた点である。また,ハード(船)プラス・ソフト(船旅)という販売態勢の確立と“フライ&クルーズ"の企画化を基本的営業戦略に置いた点でも,注目を集めた。新規事業展開のためには,こうした熱血漢が必要な時期がある。和田社長は同時に,「成熟消費社会と言われながら,そのマーケットは未成熟の分野が残されており, レジャー・マーケットにおいても本格的な船旅は極めて少ない」と,驚くべき冷静な市場分析をしている。そうした基本姿勢に立って, 日本のクルーズ市場の需要喚起に何が必要であるかを見極めた結果が,デラックス型からエコノミータイプまでの幅広い客層を狙った“船旅の総合専門店"設立であった。この1983年前後は,クルーズ事業にとって多忙であった。82年には三越トラベルが500人をギリシアに送客し実施したエーグ海クルーズのチャーターが大当たり。83年4月にはフィンランド航空(AY)が日本路線を開設したことを受け,バルト海クルーズが商品化され,なかでもヘルシンキ/ストックホルム/コペンハーゲンを運航するシリアラインを利用した小田急トラベルサービスの「フレッシュツアー」が大好評を得る。OTAも同年5月に北欧の自鳥と称された「ロイヤル・バイキング・スター」を利用した東南アジア地域のフライ&ク22].マ%.・」く1塁一―  ‐く可Д■亭・キi一■●■■●・‐ ・□