ブックタイトル30_1964-1994

ページ
206/276

このページは 30_1964-1994 の電子ブックに掲載されている206ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

30_1964-1994

旅行業界1994今9消費者に問われるパツケージの中身と素材商品の功利性◆ ◆海外観光渡航自由化の1964年に発売された,スイス航空の「プッシュボタン」に始まるパッケージッアーが今,伸び悩んでいる。これに代わつて登場したのが旅行素材のコンビネーションで売るパーツ商品だ。21世紀に向け生き残る旅行商品とは何だろう?の時代になると, 自由化直後の団体主記の形態から新たな旅行者の小衆化現象が進み,1980年代のヤングOL全盛時代へと展開していく。このあたりまでがパッケージ旅行に限らず,海外旅行の安定成長期であり,途中,オイルショックなど多少の停滞があったにせよ,作れば売れる時代であった。そして,パッケージ業界は90年代に入り受難の時代を迎えた。ただ作っただけでは売れない時代が始まったのである。廉価商品だけが売れるという現象が始まった。蟻地獄のごとく,安売りの底を低迷したのが過去3年来の傾向であった。そして今年,海外観光渡航の自由化30周年を迎えた。パッケージツアーの発生から現在までの成長の経緯を大ざっぱに見ると,このような結果になる。換言すれば,初期には個人対象で生産されたパッケージ旅行が30年を一巡した時点で,出会い頭に平成の複合不況と運悪く鉢合わせしたことになる。だが,バブル崩壊による不況が無かったら,パッケージッアーはそのまま安定成長の道程を辿っていただろうかという点については疑間が残る。作れば売れた時代から変貌パッケージ旅行の発生は本来,個人旅行を対象としていた。スイス航空の「プッシュボタン」も,個人旅行を対象として作られた包括旅行である。ジャルパックにしても同じだ。「1人でも行ける」というキャッチフレーズで売り出したが,自由化直後は団体旅行のサイズで利用されていた。また, もう1つのパッケージ利用層にはハネムーナーが多かったという特色がある。1960年代末期から1970年代にかけては,終戦直後の1945年に生まれた“戦後ベビー"が結婚適齢期を迎え,この新婚層が手堅い顧客としてブライグルツアーの対象となった。1人,あるいは2~ 3人という少数の構成単位で旅行者がパッケージツアーを利用する機会が増加したのは,1969年のパルクIT運賃の発効に伴う72年前後の第2次ホールセーラー時代が1つの区切りである。相次ぐホールセーラーの誕生はパッケージツアーを量産ルートに乗せた。マス・ツーリズムの開幕である。こ旅行業界内で問題視された1ブラ離れ現象は,単なる消費者の廉価商品志向ばかりではなく,過去30年にわたって生産,販売され続けてきた既成のパッケージッアーに対する飽和感が買い渋りの要因とも思われるからである。海外旅行を対象とする旅行業界が,30年の経過を辿ったように,消費者である海外旅行者市場も30歳の成熟市場になった。その意味では,団体で海外旅行を覚えた旅行者は,ハネムーン・パツケ~ジでハワイを知り,今,気ままな自由旅行を楽しむだけの旅行経験を積み重ねている。この消費者に同じ商品を提供したのでは,購買意欲をそそることは難しい。海外旅行が珍しい時代には通用したパッケージツアーも, リピーターが30%を超える時代には,新たな魅力を持った旅行商品の登場の必要性に迫られる。「それは何か?」そのキーワードを求め,今,ホールセーラーは必死に模索している。その意味では,この複合不況による海外旅行の不振は,旅行業界全体に反省の時間を与えたとも言える。パッケージとF:下の乱戦模様不況への対応策は何か? 今年の上半期商品の共通点は,販売価格の大幅な値下げである。パッケージ2イリ′