ブックタイトル30_1964-1994

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概要

30_1964-1994

旅イテ業界1994 翻肛◆時代が必要とする“安心"の商品化◆保険は二律背反の性格を持っている。“万が一の場合"が発生した時は必要だが,そうしたケースが頻繁に発生しては困る。海外旅行の場合も同様である。旅行に予期せぬ出来事はつきもの。まして海外ともなると,その不安は大きい。保険はその“安心''を買うこと。とはいえ,旅行を商品として扱う旅行業が,その事故を前提に商品を販売するワケにはいかない。生命保険・損害保険を問わず保険の難しさは,そこにある。一般に海外旅行の保険と言われるのは,「海外旅行傷害保険」を指す。その名の通り,傷害保険の1つである。海外旅行に保険が本格的に登場したのは,1968年のこと。AIUが新しい「海外旅行傷害疾病保険」に関する説明会を旅行業者を対象に開催している。翌60年に同社は「アイボリー・プラン」という新しい海外旅行保険も発売。以後,AIUが海外旅行保険の分野では常にリーダー的な存在となる。海外旅行先進国。米国で培った海外旅行保険のノウハウが, 日本市場で物を言ったワケである。海外渡航者の増加に伴い海外旅行保険の種類も増える一方,旅行業者にも“保険"が必要であるとの考だが生まれる。その背景には,72~ 73年にかけて頻発したハイジャック事件や航空機事故などがあった。多くの日本人ツアー参加者が巻き込まれ従って,旅行業者が被害者へ支払う補償金が企業の大きな負担になったことが挙げられる。そこで1974年,航空機事故やハイジャックなどによる不測の支出をカバーするための保険「旅行業者費用保険」が,損JI,アメリカンホームの4社が長期海外滞在者を対象とする新特約「緊急一時帰国費用担保特約」といったものまで登場する。中でもAIUはこうした新特約を付帯した「海外駐在員保険」と「海外留学生保険」を発売(同社はすでに1986年,「海外駐在員総合保障制度」を開発)。さらに91年には千代田火災が「夫婦ペア・ファミリー海外旅行傷害保険」を発売。他方,CRSの普及に伴い“傷害保険を上手に売ることが旅行会社の業務削減の手助けになる''との観点から,1993年,東京海上火災保険は日本航空と共同で「アクセス旅行傷害保険システム」(TIS)を開発。現在このシステムには損保14社が参加しており,CRS「アクセス」のプリンターで海外旅行傷害保険の契約証が自動発行できるほか,契約紹介,契約条件変更,集計が可能なほか,発券明細表,保険会社からの勘定書との照合業務,店舗ごとの売り上げを本社で把握することなどができるようになった。この点で,旅行会社と保険会社は共存共栄の関係にあるのは確かだが,主催旅行と手配旅行の垣根が不明確になり,また市場ではFIT化が急速に進むにつれて,新たな保険の開発が叫ばれてきている。とはいえ,事故を前提とした海外旅行保険のセールスは難しく,保険の拡販にはそうした心理的ハードルを越えることがまず第一。そして,各種ある海外旅行保険の内容を熟知することが,不可欠となる。不確実の時代だけに,“ 安全"に対する商品化はますます進むものと思われる。ヽ多/傷´‘tll,こ壼保12社によて開発・発売される。76年にはOTOA(海外ツアー・オペレーター協会)が,この旅行業者費用保険と海外旅行傷害保険とを結びつけた新しい保険「企業包括保険」をAIUと締結する。リスク・マネジメントとして保険を提える考え方が企業間に普及。さらに,その2年後には航空旅客への保険を提供するばかりではなく,ホテル割引など旅行に必要なあらゆるサービスを提供するAPAジャパン(本社シカゴ)が業務を開始。79年には海外でレンタカーを楽しむ旅行者向けにAIUが損害賠償保険の販売を開始する。海外で病に倒れた日本人旅行者が一番心細く感じるのが言葉の問題。病状が正確に伝わらないと,神経的にもまいってしまう。そこで1982年,東京海上火災と日本火災海上がヨーロッパ・アシスタンス社と提携し,海外旅行傷害保険加入者向けに日本語による緊急医療サービスの提供を開始する。84年にはそうした治療費用保険のみの支払特約が海外旅行傷害保険に新設される。この年,主催旅行保険も登場する。半面,保険金目当ての殺人事件がモルディブ,マニラなどで発生,海外旅行ブームに伴う保険の普及が新たな犯罪も生んだ。89年になると社名とロゴマークを一新したJTBが,「ジェイアイ傷害火災保険」(JI)を設立し,グローバル・アシスタンス社と提携し24時間態勢のサービスを開始する。またその後,特約も旅行者ニーズの多様化に対応するため各種設定されるようになり,1990年にはAIU,大正海上火災,2θ3保 険■■■■■■■■■■■■■■■■■■■保険 l鬱電