ブックタイトル30_1964-1994

概要

30_1964-1994

をする部分が増えてくることも考えなければならない。消費者のなかには,格安で手軽なパッケージツアーがあれば, 自分で手配するよりも,それを利用するという層が増えているのも事実だ。このような状況から見て,各社が相次いで開設しているFITセクションは,単にエアオン・ホテル販売の単品販売窓口として存在するのではなく,コンサルティング機能を充実し,旅行情報の提供と同時に消費者ニーズを感知するソナーの役割を果たすことが必要になる。その意味では市場機構のなかで,旅行商品を生産するための在り方を決定する消費者需要を吸収することになる。現在のFIT市場を200万人と仮定すると,パッケージ市場が250万人から300万人,これにビジネスを合む業務渡航者が230万人として,1200万人時代の需要の過半数を占める計算になる。しかも,この3つの顧客層は相互に補完し合う混在市場となる公算が大である。FITイコール,エアオン&ホテルという決め付けではなく,今後は広義の商品開発のためのプラス材料としての活用が望まれる。首都圏中心から地方都市拡散ヘ今年9月,関西国際空港の開港が予定されている。この日本初の24時間稼働する新空港の供用開始により,近畿,中国,日本海地域の諸都市の海外旅行市場の活性化が期待されているが,市場サイズから見ると,新しい国際空港がオープンするからといって急激に海外旅行需要が増F￢￢Чビ▲海外旅行の需要喚起には,旅行情報の提供や,各種プロモーションの実施に加え,消費者ニーズを吸収する機能が必要になってきた大するとは思えない。だが,この24時間 するという現象も起きた。いわゆる首都空港をハブとして各地方都市からのスポ 圏ドーナッツ現象である。―ク乗り入れができる点に「関空効果」 したがって,従来のマーケティングはがあると言えよう。 東京中心の発想による展開であり,この過去数年来,地方都市にある空港の国 方向性を地方都市に当てはめるという弊際化が進み,国際線の運航も増加傾向に 害があった。しかし,地方空港の国際化ある。ちなみに,1992年の時点で国際線 が進むと,地域住民は地元の「おらが空が発着する地方空港は37空港に及び,こ 港」からの発着が可能になるため, よりのうち,定期便が発着する空港は16にも 有利な展開が図れることになる。その意上る。 味では定期・不定期便を含めて地方空港法務省の「出入国管理統計」(92年度) 発の海外旅行は,新たな潜在需要掘り起から空港別日本人出国者数を抽出すると, こしの時代を迎えている。新東京国際空港く成田〉が707万人(構成比 そしてまた,地方空港への新規乗り入59.9%),次いで大阪国際空港く伊丹〉197 れ,増便などの変化は今まで使用してい万人(16.7%),名古屋国際空港〈小牧〉119 た主要空港(成田,伊丹)の利用度にも万人(10.1%)をベスト3として,その 影響を及ぼすことになる。ただし,この後に福岡72万人(6.1%),羽田23万人(2. 場合でも,地方空港がどういった路線を0%)と続いている。その他の地方空港で 持っているかによって左右されるが,今は,本L幌11万人(1.0%),仙台10万2000 後ローカル・マーケティング展開を図る人(0.9%)がかろうじて10万人ラインに うえでの好材料と言えよう。達しており,他空港はそれ以下の数値で こうして見てきたコンシューマー・トある。 レンドを総括すると,今後,21世紀を間この空港別出入国者数が,そのまま各 近に迎える消費者は,“女性上位"の傾向地方の海外旅行顕在需要であるとは即断 が強まり,旅行商品に対してはコスト・できないが,全国的な海外への旅行流動 コンシャスネスが強まると同時に,商品を図るうえでのバロメーターとして参考 の選択肢の多様化が求められる。になる。 また,デスティネーションの選択につ日本人海外旅行者の地域別シェアは, いても,従来の国単位の周遊ではなく限従来,関東首都圏55%,近畿。中国合わ 定都市選択型が増え,さらに国から町へ,せて22～ 24%,中部8～ 10%,九州3～ 5 あるいはリゾートヘといった旅行目的の%,その他, というのが大ざっぱな市場 細部にわたるリクエストが増え,旅行商分布であった。そのため,最大のシェア 品造成に新たな局面をもたらすことが予を占める関東が落ち込むと総需要が低下 測される。r98■■■ ■■ ■ 口■ ■■ ■■■ ■ ■■ ■■ ■コンシユーマーIFゝ,。′ ● ア