ブックタイトル30_1964-1994

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概要

30_1964-1994

行政▲1991年からコンベンション振興を目的にスタートした国際ミーティング・エキスポを受け, 日本旅行業協会(JATA)では代理店業務委員会を中心に旅行業代理店制度の実態調査を実施する一方,法制委員会を中心に「共同企画・ユニット商品」に対する注意喚起を会員各社に行っており, また,苦情処理セミナーを各地方都市で開催している。さらに,1989年に東京地方裁判所が主催旅行に対する旅行者の安全確保義務,安全配慮義務を示して以来,「旅行業者の責任」に関する論議も継続して行われている。これらも:すべて旅行者ニーズの変化に伴う旅行業者側の変化と言えよう。航空行政は,旅行産業にかかわるもう1つの柱である。海外観光渡航自由化以前から,「国際線一社体制」と「IATA協定運賃の尊守」は日本の航空政策の両輪であった。その一角が崩れたのは1986年に「国際線の複数社制」と「国内線の競争促進」を骨子とした新航空政策が日本政府から打ち出された時である。1992年には公取委が研究報告『国際航空運賃と競争政策』の中で「IATA協定の形骸化」を指摘したことで,IATA協定運賃の遵守に対しても疑間が投げ掛けられている。今年4月から発効した新ペックス運賃とIIT運賃は,こうした背景から生まれてきた。旅行業界の現状は,一般旅行業者が950社,国内旅行業者が約7000社,代理店旅行業者が約4500社と,合計で約1万2500社となっている。大所帯となった旅行業界,増大する日本人海外旅行者,さらには発効したばかりの新航空運賃など,幅広く多様化する新たな局面に対し,21世紀に向けた柔軟な管理と指導が行政サイドに期待される。◆ 旅イテ業界1994観光産業内の賃金格差是正と労働条件の改善を目指し,観光産業労働組合連絡会議が結成されたのは,1966年。海外観光渡航が自由化されてから2年後のこと。結成当初,組合員1万3000人のスタートであった。その2年後,観光労連は全交通に加盟。日本の経済全体構造がそうであるように, 日本の旅行業界も少数の大手と多数の中小がひじめき合う。この二重構造がそのまま賃金の二重構造を生み出す。実際,観光労連が誕生するまで旅行業界には賃金相場というものが無い状態であった。それぞれの旅行会社が個別の給与体系に基づいて賃金を支払うといった状態で,大手と中小の格差は広がるばかり。観光労連が結成されたことで,春闘相場など労使双方が目安にできる賃金レベルが観光産業にも生まれた。そうした賃金相場の確立は大手。中小の格差是正に大いに役立つことになる。このため,未組織労働者に対する働き掛けも同時に推進される。また,各社で取り扱いがバラバラだった添乗員に対する労働条件の改善も,観光労連が力を入れた1つである。この間,1974年に箱根で開催された観光労連第9回定期大会の席上,ITF(国際運輸労連)への加盟を決定。翌75年,JATAに「産業別最低保障賃金制の確立に関する申入書」を提出。76年に観光労連は連合体へ移行。さらに1983年には観光労連中央委員会で,「営業日,営業時間に関する統一基準」を見直し,週休2日制を目指すことを決定(ただし,曜日には固執しないことも決定)するなど,産業内の労働条件全般にわたる諸問題に日を向け始める。同年,産業内でキャプテン・システムをはじめとするニューメディアの動きが活発になってきたことから,賃金二重構造解消への道◆観光労連でも高度情報通信革命に伴う旅行業界への影響は大きいとして,働く側の立場から情報通信の現況とその実態をまとめた報告書「ニューメディアの周辺」を作成,各単組に配布するとともに,労連全体としてニューメディアにどう対応するかの研究に着手。さらに,横の強化を図るため1988年に観光労連,ホテル労連などが「レジャー・サービス関連産業労働組合連絡協議会」(レジャー・サービス労連)を結成(組合員数は約5万5000人)した。観光労連の問いは,常に企業の“利益率"との戦いとも言える。バブル崩壊後に到来した不況は,予想以上に長引き,人件費の高騰・利益率の低下という事態を招いた。これにエア・オンという薄利多売の過当競争が追い討ちをかける。低成長時代の生き残りに活路を見出そうと苦悩する企業は,大手。中小を問わずリストラに着手せざるを得ない。JATAが今年2月にまとめた「旅行業経営分析」でも,一般旅行業者の営業利益率は91年以降急激に低下傾向を示していることが浮き彫りにされた。市場の冷え込みに加え,業者間の過当競争がさらに拍車を掛ける形となっている。こうしたことから,企業内ではリストラが行われ,セールス強化のための配置転換が進むなど,労働環境の悪化が指摘されている。特に圧倒的に数の多い小規模企業の経営悪化が顕著で,賃金の二重構造は解消どころかさらに格差が広がっているのが現状。ベビープーム世代とともに成長してきた旅行業界には,同世代のミドルクラスが多く,人員整理の標的になりやすい。今,観光労連は他労連と同様,厳しい試練に立たされているのである。観光労連195■■■■口■■■■■■■■■■■■■]・・   ‐ ・一鮮・,′‘“ ・一・鰊ゝ.く●●   一●■,仁各Fトー●屏「ゲ′靡げ′い・^は、4ノ― _ル‐――――=』障鶴・一一観光労連溝|:第4回定期大会観光労鷲´‘』,一』」”″”一一・t■」LFr増用産」こ_