ブックタイトル30_1964-1994

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概要

30_1964-1994

映画と旅行編「鑑賞する」から「訪れる」「体験する」ヘ名作映画と旅行の深い関係遠い音ヮ数々の名作映画に出てくるシーンは,物語を印象づける演出としてばかりではなくヮ未知の土地への深い憧れを抱かせる魔法のようなものであった。海外観光旅行が自由化さ,L気軽に旅行ができるようになると,映画の世界を自分の眼や足で実感するツアーなども出てきた。また近年では,映画を「体験」できるテーマパークがオープンラ人気が高まっている。「未知の世界」への憧れを募らせた名作の数々恋愛映画の代表作『カサブランカ』(1943年。米)は,タイトル通リモロッコのカサブランカで撮影されたもの。ハンフリー・ボガートが若く美しいイングリット・バーグマンに向かって言う「君の瞳に乾杯…」は当時の女性たちの心をとらえて離さなかった。そして,オードリー・ヘップバーンの愛らしく上品な演技が印象深い『ローマの休日』(1953年。米)はイタリア・ローマを舞台とした映画で,封切りから40年以上も経った今でも,変わらずに親しまれている作品だ。数え上げたらキリがないこれらの名作は,ストーリーの素晴らしさもさることながら,主演俳優の名演技,舞台演出の巧みさが鑑賞者の心にいつまでも残っている。特に,一般庶、民に海外旅行が滸されなかった当時は, まだ見ぬ海外への1童れは計り知れないものであったに違いない。映画から旅行ブームにつながったデスティネーション20世紀の前半,映画は日本の大衆娯楽の確固たる地位を築き上成洋画・邦画を問わず,後世まで名を残す名作の数々が誕生していった。その代表的なものとして挙げられるのが,フランス映画として初めてのオールトーキー作品である『巴里の屋根の下』(1931年・仏)。」映後,主題曲がヒットしたほか,昭和初期のパリ熱に拍車を掛けた。また,『風と共に去りぬ』(1939年。米)は,言わずと知れたハリウッド最大のスペキュタクラー映画で,ヴィヴィアン・リー扮するスカーレットとバトラー(クラーク・ゲーブル)が米国ジョージア州アトランタを舞台に繰り広げる激しく情熱的な愛の物語。一方,甘い兆` `鱚tそれでは,1964年の自由化後には一体どのような名作が人々の心を揺り動かしたのであろうか。まずは自由化直後の1965年,アメリカによる『サウンド。オブ・ミュージック』が挙げられる。この作品は,マリア(ジュリー・アンドリュース)の歌う透き通るような歌声とオーストリアの手付かずで豊かな自然が印象強い。フランス・シェルブールの美しい風景と全編に流れる甘美で哀愁漂うメロディーが見事に調和した『シェルブールの雨傘』(1964年・仏),銀行ギャングの壮絶な青春を描いた『俺たちに明日はない』(1967年。米)では,テキサス州ダラスの中心で派手に暴れ回る。また,1970年イタリアの作品『ひまわり』は,ソ連(現ロシア)が嗜刀めて西側のカメラを受け入れた作品として知られている。この時期の名作は鑑賞後も,これまでと同様,旅行とは直結せず,未知の土地へ思いを馳せる程度のものでしかなかった。しかし,時代は移り変わり1980年も後半に差しかかると,実際に映画をきっかけに特定のデスティネーションに人気が集中するという傾向が表れた。その代表的なものとして挙げられるのが,ポール・ホーガン主演の『クロコダイル・ダンディー』(1985年・豪)である。オーストラリアの奥地,ワニが多数生息するジャングルに住んでいた主人公が,アメリカ・ニュ▲「クロコダイル・ダンディー」のヒットでオーストラリアヘの旅行者が増加した′θ′22|圏一 ■r=‐_ ´`:`Vi・●