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概要

25_1964-1988

では,はたして達成出来るだろうか, という疑間があったのですが,おもいの外に早く達成されそうな状況になりました。1000万人というのは,日標数値であって,計画の本当のところは,日本人の海外旅行がどんどん増えてくることは,日本にとっても国際的にも意味が大きくなってきている。その中で日本人の海外旅行に対し,行政的な眼が行き届いていない,社会全体にとっての大義名文がない, といった状態が続いていました。観光旅行や海外旅行は悪いことだ, とかつて言われたような状態をなんとか打破したいということがあったんです。それについて,行政や旅行業界ばかりでなく航空,保険など幅広い業界の方々に関心を持ってもらって,いろいろな角度から検討したい。そういう場づくりをしたいという気持が強かった。その求心力がテンミリオンだったのです。ですから1000万人が達成されればそれでよい,ということではなく,海外旅行に対して今後もあらゆる角度から考えていくということなのです。一―■兼松さんはテンミリオンについて,どのようにお考えですか。兼松 テンミリオン計画というのは,海外旅行に出やすい環境をつくってもらったということで,大変に良かったと思っています。今までモラル的に遠慮していたのが,政府が奨励して下さることによって出やすくなった。これは業界としても大変に感謝しています。それともうひとつは並行して,悪い言葉で言うと「観光公害」ということになるんだが,愛されるとまでいかなくても少なくとも“嫌われない日本人"を目指したような社会司会/森谷哲也教育的なものが欲しい, というのが私の希望ですね。一石田さんはいかがです。石田 そうですね。旅行に出る環境が大変に良くなりました。おかげさまでわれわれの商売もうまく行っております(笑)。旅行に出る勢いが強くなったというのは非常にありがたいことです。それと今,兼松さんが言われた観光公害ですが,これは大変な問題ですね。多くの人が海外へ出かけると,どうしても摩擦は起きてきます。行った先で迷惑になることをしないというのは当然のことなんですが,なかなか守られていない面があります。人に迷惑をかけてはいけない, というのは子供の時からの躾の問題なのですね。食事のマナー等ということより,常識のあるなしが問題でしょう。それと「ハワイから手を引け」というタイトルで総合雑誌に記事が載っていましたが,日本からの投資にもかなり反発が起こっています。こういったものも,旅行へ影響を与えてきますね。住田 そうですね。日本人が国際交流をどんどん進めるため,政府がレコメンドしたというのは大変良いことでした。旅・行性悪説から性善説に変わった。反面,3つのことに不安を感じます。そのひとつは,兼松さんや石田さんが言われたモラルの問題です。かつてアメリカ人が米ドルの高い時代に海外でひんじゅくをかったということもありました。私もジュネープ時代に“好まれないアメリカ人"というのを見ております。と同様に現在の日本人がそうなりつつある。私共の各国の事務所から報告が来てるのですが,立入禁止の場所に平気で入りこんだり,宗教を冒潰するような行為をしたりと問題は多いようです。第2点は,交通機関のキャパシティの問題で,例えばロサンゼルス,サンフランシスコ間の飛行機は非常にタイトで取れないという状況にあるわけです。それと,国際交流は相互交流が原則ですから,テンミリオンと同時にファイプミリオン・インということもやっていただきたい, ということです。JNTOとしましても,中村局長にお願いすると共に,キャンペーンの実施などで努力をしていくつもりです。平和が続く限り市場拡大は続く摩擦解消に価値観の教育を-25年を駆け足で振り返っていただいたのですが,最後に今後の展望をお願いしたいと思います。まず市場規模はどこまで伸びるのか,またそのためには何をしていかねばならないのか, といったことをお話しいただきたいと思います。中村 市場規模の限界という観点からの研究はいまのところ私共もしておりません。やはり今後の問題としては,航空輸送力をどれだけつけられるかがポイントだと思っております。成田の第2期を完成させること,次いで1992年度に関西新空港が完成の予定です。その辺が解決して,さらに海外旅行は飛躍するのだろうと考えています。それまでの間,私共が考えているのは地方空港の国際化ということです。地方都市からの海外旅行,プログラム・チャーターによる分散化ということも検討中です。もうひとつは客船53LI