ブックタイトル25_1964-1988

概要

25_1964-1988

日米の問題全体をからめられてしまうと弱い立場になってしまうんですよね。しかし,日本の権益を守るため十分に努力はしたつもりです。―ジャンボから業法改正と,旅行業界もさらに大きくなってきまして,1978年にはようやくと言いますか成田空港がオープンしました。中村さん,開港時のお話をいただけませんか。中村 私はその頃,鉄道の担当をしておりまして直接携わったわけではないのですが,あの時は皆さん大変なご苦労をされていましたですね。本省の課長さんもヘルメットを被って成田へ行かれ,本当に身体を張って開港させたという感じでしたね。それまで増便要求や諸外国からの乗り入れというものを厳しく制限してきたわけで,そのプンッシャーも相当高くなっていました。それがもうギリギリのところまできてまして,開港せざるを得ない状況に至っていたのですね。実は現在,だんだんその時の状況に近くなってきてまして,新しい乗り入れや増便が大変困難になっています。どうしても成田の全面開港が必要な環境になりつつあるわけです。兼松 当時は着陸の能力というより燃料の補給能力が問題でしたよね。油をどう運ぶかで苦労してました。今はパイプラインがあるからいいのですが,当時は貨車輸送でしたから大変でした。中村 鹿島港からの輸送でしたね。JATAコンで日本の姿紹介1977年,新婚ベスト3にハワイ登場一成田開港の前年になりますが,JATAの国際会議が開催されています。56カ国から1000人近い業界人が参加した国際会議の第1回でしたが,兼松さんが中心になって開かれたわけですね。兼松 実は当時,外国の方に私共といいますか日本のことが誤解されていたんですね。日本人が外国へ行って会議に出るといいましても,行く人は旅行会社の中でも一部の専門家だけなんですね。外国の会議で話をするとなると,さらにインターナショナルのプロだけということになってしまう。従ってお互いに理解の場がないんですね。日本人というのは旅行のパターンが欧米人と少し違いまして,ヨーロッパ人ならこの秋に日本に来るとしたら春には私の所に手紙が来ますよね。ところが,日本人というのは本当に間近まで決まらないんですよ。従って日本の旅行会社は,外国から要求がくるとリスクを負って全て手配をするわけです。航空会社もネームリストを寄こせというんですが,現実には全部の名前が分からないこともあるので,電話帳でも見て適当な名前を入れたりして……(笑)。出発のひと月近く前になってから,ネ―ムリストの変更ということで処理せざるを得ない。外国の人は,日本人はどうしてこう変更するんだと言うが,本当は変更しているわけではない。そんなことを分かっていただくためには,どうしても日本で会議を行ない実際に日本の事情を見ていただきたい, と考えたわけです。ですが,だいぶ反対論もありました。業界のリスクでやるわけですから,会員の全部の会社の同意でやらなくてはいけない。ずい分心配もしました。当時,本間次郎さんがJATAの会長で,「本間さん,なんとかまとめますからやりましょう」「そうかそれならやろう」ということで,皆さんにお話をし,合意が得られたので開会にこぎつけたのです。結果的には海外から700人近く,国内から300人で1000人近い会議になったわけで,まあまあ良かったのではないか。その後の会議でも外国の方はどんどん増えてきてますので,目的は十分に果たしていますね。一―今年が第7回になるわけで,ますます大きな会議となっていますね。ところ住田俊―氏で,1979年に起こった第2次石油ショックは業界に大きな影響を及ぼしました。1980年には海外渡航者が初めて前年を下回るという状況になりました。この頃の思い出を石田さんからお話しいただけませんか。石田 確かに一時期低迷しましたね。その前にちょつと触れておきたいデータがあります。新婚旅行の目的地なんですが,1970年代では国内が9割を占めていました。人気のベスト3を見た場合,1970年では九州,東北,関東という順で,それが1976年になりますと南九州,沖縄,北海道となります。翌1977年ですが,沖縄,南九州に次いでハワイが登場してくるんです。ベスト3に海外が出てきたという●住田俊―氏 大正10年3月15日生まれ。昭和19年東北帝大法学科卒業,20年海軍主計中尉,21年運輸省入省,37年自動車局自動車道課長,40年JNTOジュネープ観光宣伝事務所長,45年大臣官房観光部長,48年船員局長,49年日本航空開発常動顧問,50年常務取締役,52年旅行開発代表取締役副社長,55年代表取締役副会長,61年的国際観光振興会会長。イ9● ｔ ｉｌ翼口, 薔「LR