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概要

25_1964-1988

なく休暇に関し根の浅い日本の土壌を考えると,景気の後退など,一旦事が起これば,折角の拡大気運にブレーキのかかることは十分予想される。時計の針が後戻りしないようむしろ業界が一体となって,国民運動としての「長期休暇推進キャンペーン」を働きかけていく位の積極的な対応が必要だ。と同時に業界独自の対応として季節間格差料金の推進や積極的なPRなど,長期休暇がもたらすメリットを具体的に訴えていくことも忘れてはならない。急がれるのは基盤整備と制度の見直し第2は,航空運賃の見直しも含めた供給条件の基盤整備である。成田空港の二期工事や関西新国際空港の完成が待たれるなかで,わが国の国際線の空港事情はすでに末期的な状況にある。テンミリオン計画の柱でもある地方空港の活用により若干の供給増は期待できるというものの,やはり鍵は首都圏なり近畿圏なりをはじめとする主要マーケットである。最大9日間の大型連体といわれた今年のゴールデンウィークも結局フタを開けてみたら,後半の1週間に異常な集中現象をきたしていたというが,折角ある程度の連続休暇が可能となっても,体みのパターンが相変わらず集中豪雨型になる可能性は極めて強い。空港なリホテルなり供給条件を増強しても,併行して利用者側の分散化が行われない限り,焼石に水の状態はいっこうに改善されないが,しかし,それでも東京,大阪の空港条件の改善は焦眉の急だ。周辺近隣諸国の空港整備が急ピッチで進められることを考えれば,日本が世界のローカル空港となる危険性さえ決して小さくない。運賃問題については,先進諸国の航空会社にとっては引続き厳しい対応が求められるというものの,やはり同一路線同一運賃の原則により,引続き抜本的な見直しを急ぎ図っていく必要がある。戦後,世界の民間航空界の原理原則となってきたIATA規則も,ほころびが目だつようになってきた。ある面では有名無実化しつつあるIATA代理店制度も早急な見直しが必要だ。業界挙げ社会的地位向上への取組みを第3は,万年自転車操業と言われる旅行業者の低収益構造からの脱皮と社会的地位の向上だ。電話ひとつ,机ひとつといわれていた代書業時代と違い,現代における旅行業の社会的責任は比べようもないくらい大きく,しかも重くなっている。一旦事が起これば,運送や宿泊機関の責任に帰すものといえども,まず旅行会社が矢面に立ち,責任を問われるケースがますます多くなってきた。しかも市場の拡大につれ旅行取扱量が増えればその危険性はますます増大する。しかし,正直なところ全般的にみて旅行業者側の認識は,まだまだ甘い。それが巡りめぐって旅行業者全体の社会的地位を相対的に低いものにしている一因ともなっているといったら,言い過ぎだろうか。幸い旅行業者として一部上場を果たし社会的に大きな評価を得る企業も出たとはいうものの,残念ながら旅行業全体というより,まだまだ個々の企業の評価にとどまってしまっているのが実情である。そのためにも薄利多売の低収益構造を一刻も早く脱皮,次への投資力を含めた適正収益を確保できる業界全体としての経営体質をまず確立する必要がある。低マージンが当り前とする中から,健全な業界体質は生まれてこない。少なくともコンシューマの不信をかい,業界が自ら首を締めるような無謀なダンピング競争だけは,止めにしたい。リピーターの増大等によリコンシューマの旅選びはますます賢くシビアになっていく。安売りのツケをオプションやショッピングに求めていく商法がいずれ行き詰まることは目に見えている。社会的地位の向上とは,そういった“うさん臭さ"からの脱皮でもある。第4は,上記のこととも大きく関連するが旅行産業全体を包む変化の中で,旅行業者としてのレーゾンデートルをどう確立するかということだ。たとえば航空会社のCRS。世界的な規制緩和の中で航空会社同士のサバイバルゲームは今後とも激烈の度を加え,よリシビアな合理化策を要求されていくことが予想される。流通コストを下げるための手段として,キャリアのCRS展開が直接ユーザーに向けられる可能性はま′7