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概要

20_1964-1983

第1次オイル・ショックの試練には辛うじて耐えた旅行業界であったが,ようやく立ち直り,再び成長ムードになつていただけに,前年度のイラン政変に始まった2度目のオイル・ショックの影響は,予想以上に大きかつた。海外渡航自由化後20年の歴史で唯―のマイナスという事実が,そのあたりを如実に物語る。高度成長から安定成長への節目となった1980年は同時に,業界の体質改善が厳しく問われる,新しい時代の始まりであつた。第2次ォイル0ショツクで`さみだれ式の運賃値上げ"年代最初の年。1980年は,第2次オイル・ショックの重苦しい雰囲気の中で明けた。前年の2度にわたる大幅な航空運賃の値上げに引き続き, 3月には国内航空運賃が平均24%の値上げ。理由はもちろん,燃油価格の高騰だが,景気の低迷に加え,航空運賃の上昇が需要に水を差す結果になった。太平洋方面については,米国側の低運賃政策を推進する立場もあり,他方面の値上げにもかかわらず,運賃は据え置かれたままであったが,米国系の航空会社の経営悪化という状況もあって,ついに1月21日に5年ぶりの値上げが実現した。その後もさみだれ式の運賃値上げが続き,1979年7月から通算すると,太平洋,欧州,東南アジアとも約30%のアップという急上昇であった。急ピッチな運賃の値上げが旅行需要に与えた影響は大きかった。 1月こそ前年を6%上回ったものの, 2月以降は, 3月の0■ %増を除けば,11月まで連続のマイナス。運賃は上がったものの,それがかえって航空会社,旅行会社の台所を悪化させることになり,夏のハワイの大バーゲン合戦の導入線となった。しかし,航空運賃の値liげの一方では日豪間, 日欧間に個人の旅行者を対象にI夕2●昭和Jj事したAPEX運賃(事前購入制回遊運賃), さらに日欧間に若者を対象としたユース。フェアが導入されるなど,FIT時代到来の予兆が日増しに強まってきたのも, この年の特色であった。伸び悩む旅行需要ハワイの空にバーゲン合戦伸び悩む旅行需要と高騰する燃油の板扶みで,航空会社の経営はさらに苦しいものとなった。燃油値上げをカバーするための航空運賃の改定も,それによって需要が減ってしまえば,元も子もなくなる。このことは航空会社のみならず,旅行会社も全く同じ状況にある。かくて限られたパイをめぐって,激しいシェア奪い合いの競争が繰り広げられることになった。とりわけ,ノヽワイの場合,相次ぐ運賃値上げでついにMTP(最低販売価格)が20万円の大台を突破した。ハワイ20万円時代の幕開きである。もし,ノヽワイがそれでも売れれば,ノヾ―ゲン合戦は起きなかっただろう。それまでのノ`ワイは,К℃C(太平洋線航空運送秩序確立委員会)体制がしっかりと守られており,航空会社,旅行会社には文字通り「ドル箱」のデスティネ~ンヨンであった。しかし, この年はあまりに突然の航空運賃値下げで、ハヮイはパーゲン合戦に巻き込まれた状況が悪かった。相次く運賃値11げに加え,円安,物価の高騰,衆議院選挙.韓国の政情不安など,海外旅行にマイナスの材料が11白押し0旅行者の足がILまっても何の不思議もなかった。まず低価格のユニットが問題になり,PρCCでは最低卸売価格(MWP)を設定しようという動きになった。これが3月,思えばすでにこの時期にサマー・シーズンの安売り戦争の伏線が敷かれていたわけである。6月,突然ハワイの航空運賃が値下がりする。大手航空会社の値下げだけに一斉に他社も追随,ついにピーク・シーズンである7~ 8月がパーゲン合戦に巻き込まれるという事態になった。PCCCの懸命の打開策にもかかわらず,結局は10月に正常化するまで,ハワイの乱戦は続いた。航空運賃が値上げになっているにもかかわらず,商品価格がドがるという皮肉な状態は、この年以後、毎年のように繰り返されることになる。運賃が値崩れすれば,秩序回復が俎liにLるのは当然の話。7月,運輸省は日本国際航空運送秩序確立委員会(JNCAC)を正式認可した。太平洋,欧州,東南アジアのそれぞれに秩序確立委員会を置き, コンプライアンス活動の一元化を図ったものである。秩序維持とシェア確保の間を揺れ動く,航空会社・旅行会社の80年代への苦しいスタートでもあった。成熟する消費者と高まる“買春ツアー"批判1980年をただ,景気の低迷期と片付けるわけにはいかない。確かに第2次石油危機は旅行業界に甚大な影響をもたらした。では, もし石油危機がなかったらマーケットはかつてと同じように伸びただろうか。答はノーである。われわれは表面にある大きな動きにややもすると惑わされやすい。この年,80年は旅行マーケ第2次;石i洒礎場獅a夕|のマイナス成長卜「BのトリァプスⅢ稼動(1月)>太平洋線, 5年ぶりに値上げ(1月)レ国内航空運賃24%値上げ(3月)>大平洋バーゲン合戦始まる(6月~9月)レ日本国際航空運送秩序確立委員会(JNCAC)認可(7月)>運輸省観光部旅行制度検討委員会に約款小委員会設置(10月)>マニラ買春ツアーが衆院外務委員会で議題に(10月)レ年間渡航者数, 自由化以後初のマイナス成長(12月)田『鶴^ηヽ魯一重大